閑話1

閑話

⭐︎きりまほの想いが伝わった翌朝の話。

⭐︎本編完結後のイメージで読んでください。




 カーテンから日差しが差し込むよりも早く目が覚めた。シーツの海は酷く荒らされ、全裸でいた真歩には肌寒く、瞼が震えて情景が写る。


 みたことない壁と家具。自分の家のベッドより2回りほど大きい贅沢な場所。――霧島の家、だ。

 スッと冷えた空気が鼻腔に広がる。朝を告げる希望の匂いがした。


 家主といえば、昨日の劣情をぶつけ尽くしたと言わんばかりにスヤスヤと寝ている。伏せられた瞼が霧島の夜の色を隠してしまって早く起きないか、と期待している自分がいる。

 顔にかかった長い前髪をシーツに落としてやる。指先で触れた霧島が少し冷えていて、ずれ落ちた布団を2人分の肩にかける。

 そのまま、胸板を枕にして隣へ潜り込む。2人分の熱を受けてゆっくりと温まる布団は心地よい。冬の終わりを告げる日の光のように、ゆっくりじんわりと体を温めていく。


「んぅ〜?」


 少し苦しそうに身動いする霧島から距離を取る。くっつき過ぎただろうか。一抹の不安が芽生えたが、次にはその不安は消えた。


「……真歩?」

「あ、ごめん、霧島。起こしちゃった?」

「もっかい寝るぞ〜?」


 体制を起こした真歩の肩を自身の体にもう一度くっつける。寝起きとは思えない緩急のある動きに、真歩は霧島の胸の中でも瞠目する。


「あと、それとな?」

「ん?」


 寝ぼけ眼だが、しっかりと意思を持った瞳が真歩の双眸と絡まる。

 冬が明けて喜ぶ子供のようなら柔らかい夜色の瞳がニッと、柔らかく微笑んだ。


「〝冬一さん〟な?」

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