アースガル冒険譚

楓葉蓮

第1話 異世界召喚

俺の名前は佐藤悠真、趣味はゲームで主にRPGをやっている。特に世代は問わずに、昔のものも最近のものも好きだ。

地元の大学の情報学部を卒業して就職したコンピュータシステムの会社に二年勤めていて、今年の春に後輩もできてもう立派に社会の歯車になった…はずだったのだが


「ここはどこだ?」


いつの間にか一面真っ白な空間に立っていた。そこは仕切るものは一切なくて、天井と床の境界も曖昧で今どこに立っているのかもわからなくなるようだった。例えるならよく晴れた日の凪いだ海のような感じだろうか。

周りを見渡すと、俺と同じようにオロオロしている人が沢山いる。多分、五十人は超えているだろう。


しばらく周りを見渡していると、さっきまで何も無かったところに青色の火の玉が浮かんでいることに気がついた。

火の玉を見ていると、なぜだかすごく緊張して体がこわばってしまう。あの火の玉からはなんというかプレッシャーのようなものを感じる。できることなら今すぐにここを離れたいが、体がこわばって動けないのでそれは叶わなかった。


しばらく火の玉を見たまま固まっていると、火の玉が歪んで段々大きくなっていった。


「刮目せよ、我はニヴルヘル。お前たちとは異なる世界の神である!」


そう言い放ったのは、火の玉から現れた下半身は黒く、身長は普通の三から四倍は大きい大男だった。


「お前たち七十二人には我の国を取り戻してもらうためにここに集まってもらった」


国を取り戻す?あいつは突然何を言っているんだ?

そんなことを思ったが口も動かないままで、結局何も言えなかった。


「はるか昔我は、戦争の神ウォーデンによって国を追われることとなった。ウォーデンは我の国に戦争を仕掛け、我の国民たちをそれから数百年我は辺境で密かに地位挽回の時を待ちつづけた。そしてついにその時が来たのだ!今奴の力は今までにないほどに弱っている。そこでお前たちには我の国、アースガルの王位についている忌々しいウォーデンを打ち倒して欲しい。もちろん打ち倒した暁には褒美をたんまりと遣わそう」


そう言ってニヴルヘルは手に持っていた杖を掲げると、杖に嵌め込まれた大きな宝石から青い光が溢れて視界が歪んでいった。そのうち立っていられなくなって床に倒れ、そのまま俺は意識を失った。

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眩しく感じて目を開けると、森の中に仰向けで寝転んでいた。どうやら意識を失っている間にどうにかして森の中へ移動させられたようだ。


「まるでテレポートだな」


にしてもここはどこの森だろうか。日本の森特有の薄暗さのようなものは無く、木漏れ日で明るい。どちらかというと西洋のような感じだ。


「誰かいないのか?」


ふとそう思い、立ちあがろうとすると、腰に重さを感じた。見ると、ベルトに一本の長い剣が取り付けられていた。恐る恐る剣を鞘から抜いてみると、そこにはよく磨がれた刃が見えた。RPGの初期装備によくある飾り気のないロングソードによく似ている。

「マジで本物かよ…」


とりあえず誰かいないか探さないと。俺一人だけじゃ何が何だか分からない。

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アースガル冒険譚 楓葉蓮 @LLENN_160

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