私を陥れる様な婚約者はいりません!彼と幸せになりますから邪魔しないで下さい

@karamimi

第1話 息苦しい世界です

「ラドル様、本当にあんな女とこのまま結婚をしてしまうのかしら?」


「そうよね、あの女には、ラドル様は勿体ないわ。お可哀そうに、さっきもあの女の傍に寄り添っていらしたわ。やはり親同士が決めた結婚なんて、悲劇でしかないわよね」


「でもまさか、あの女が我が儘で傲慢で、ラドル様を振り回していただなんて…大人しそうな顔をして、恐ろしい女ね」


「「「本当ね」」」


 今日も令嬢たちが、私の悪口で話に花を咲かせている。私、アントアーネ・ディーストンは、貴族学院3年の15歳。半年後には貴族学院を卒業し、婚約者のラドル様と結婚する事が決まっている。


 でも…


「私だって、ラドル様と結婚なんてしたくないわ…あんな恐ろしい男となんて…」


 はぁっとため息をつき、その場に座り込んだ。私とラドル様が婚約を結んだのは、今から5年前、お互い10歳の時だった。元々ラドル様とは幼馴染だった。


 お互い伯爵家の人間という事もあり、爵位的にも問題なかったことから、親同士が決めた婚約だった。正直私は、ラドル様と婚約できた時、天にも昇る様な気持ちだった。


 私はずっと、優しくていつも私に寄り添っていてくれるラドル様が大好きだったのだ。大好きなラドル様と結婚できる、それが嬉しくてたまらなかった。


 それからというもの、私はラドル様に好きになってもらうため、勉学もマナーのレッスンも、今まで以上に力を入れた。令嬢たちとも積極的に交流を持った。


 私がラドル様と結婚した時、少しでも彼の力になれる様に。そんな思いで頑張って来たのだ。


 そのお陰か、ラドル様との仲も良好、令嬢たちともよい関係を築け、毎日楽しい日々を送っていた。親友と思える令嬢も出来たのだ。


 それは貴族学院に入ってからも、変わらなかった。ただ、元々美しく優秀だったラドル様は、令嬢たちから人気が高く、不安に思う事もあった。


 それでも私に寄り添ってくれるラドル様が大好きで、もっと認められる様に頑張った。幸いクラスの令嬢たちとの仲も良好で、皆が私を支えてくれたのだ。


 毎日が楽しくて幸せだった。この幸せがずっと続く、そう思っていた。


 でも…


 1年前、私が貴族学院2年生の時から、急に私に関する悪い噂が流れだしたのだ。


 ラドル様という婚約者がいるのに、他の令息とも関係を持っている。

 令嬢たちのよくない噂を流している。さらに酷い悪口を言っている。

 ラドル様に酷い態度をとって、彼を傷つけ苦しめているなどなど


 あげたらきりがないほど、酷い噂の数々。


 最初は信じていなかった令嬢たちも、実際私が彼女たちの酷い噂を流していると耳にしてから、少しずつ離れていった。事実無根と何度訴えても、皆信じてくれず、離れていってしまったのだ。


 辛くて悲しくて、胸が押しつぶされそうだった。誰も私の事なんて信じてくれない。それが辛くてたまらなかった。


 そんな中でも、ラドル様は


 “僕はアントアーネを信じるよ。だから泣かないで。僕はずっと傍にいるから”


 そう言ってくれたのだ。その言葉通り、ラドル様はずっと私の傍に居続けてくれた。ラドル様だけは、ずっと私の傍にいてくれる。それが嬉しくてたまらなくて、増々私はラドル様を大切にするようになった。


 でも、ラドル様が私の傍にいてくれればくれるほどに、悪い噂はどんどん増すばかり。私の評価は、地に落ちた。


 それでも私には、ラドル様がいてくれる、そう思っていた。


 そんな中半年前、私はある事実を知ってしまったのだ。


 私の悪い噂を流していたのは、なんとラドル様だったのだ。ラドル様がどうやらお金で雇った貧乏な貴族たちを使い、私の悪い噂を流す様指示を出している姿を目撃してしまったのだ。


 頭を鈍器で殴られたような衝撃は、今でも覚えている。あまりのショックに、私はその後、数日間原因不明の高熱に襲われるほどだった。


 そうとは知らず、ラドル様は毎日お見舞いに来てくれたのだ。その笑顔も、私にかける優しい言葉も、全て嘘…


 そう気が付いた瞬間、私の中で全てが崩れ落ちた。


 あの日私の心は、完全に壊れてしまったのだった。



 ~あとがき~

 新連載始めました。

 よろしくお願いします。

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