役目を終えたはずの巫女でした

豆腐と蜜柑と炬燵

第1話  再召喚

やっと最近になって、私はこの世界の現実を受け入れられるようになった。

 あれは夢だったのだと、思えるようになったのに。

 ――今さら、またゼフィーリアに行くことになるなんて。

 正直、もうこんな中途半端なことはしたくなかった。

 二つの世界を行き来していた十年間、私はどちらの世界にも言い訳をしながら生きていたと思う。

 いざとなったら、どちらにも戻れる。そんな逃げ道を常に残して。

 あれから三年。

 三十歳になり、看護師の仕事だけは、なんとか「まともに」できるようになった。

 それ以外は――友達もいないし、趣味も特にない。仕事以外で人と関わるのは家族だけ。

 寂しい人生を、満喫中だ。

 それでも、あの頃の私よりは、ずっと地に足がついていると思っている。

「はぁ……」

 鏡の前で、思わずため息がこぼれる。

「それにしても不思議よね。普通、一度選ばれた人間が、もう一度選ばれることなんてないのに」

 呑気に首をかしげるおばさん(凛の母親、桜の母親の妹)の声に、私は苦笑する。

「桜ちゃん、ごめんね」

 本当に申し訳なさそうに言うのは、凛ちゃんだ。

「いいの、いいの。凛ちゃんまだ中学生なんだし、行き来は大変だったでしょ」

「桜ちゃんも学生の頃は大変だったもんね」

 おばさんが、私に申し訳なさそうにしつつも、凛ちゃんにフォローを入れる。

 その瞬間、鏡が淡く光り始めた。

 表面に、幾何学的な魔法陣が浮かび上がる。

「じゃあ、また3日後ね」

 そう言って、私は鏡の中へと足を踏み入れた。

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 ため息をついた理由は、行き来そのものへの憂鬱だけじゃない。

 それ以上に――あちらの世界の人たちを、がっかりさせてしまうこと。

 私の巫女としての能力は、叔母さんや凛ちゃん、歴代のご先祖様と比べても最下位だ。

 私がなんとか巫女を務められていたのは、騎士たちの能力が過去最高水準だったからにすぎない。

 しかも、凛ちゃんは、私なんかとは比べものにならない力を持っている。

 私と入れ替わっていることすら、向こうの世界は知らないままだ。

 巫女の交代は、いつだって突然だ。

 人々がそれを知るのは、巫女が現れてから。

 夜勤明けの移動は、やっぱりきつい。

 久しぶりの転移ということもあり、眠気と脱力感が一気に押し寄せてくる。

 ――さすがに、久々の登場で寝落ちはまずいよね。

 霧が晴れていく。

 魔法陣の前に立つ人影が見えた瞬間、心臓が大きく跳ねた。

 向こうも、私を見て驚いたようだった。

 ……なんで、よりによって彼なの。

 動揺した瞬間、張りつめていた気力が一気に切れる。

 体が崩れ落ち――落ちるはずだった。

 倒れる前に、温かい体温が私を支える。

「ありがと……」

 顔を上げた瞬間、視線がぶつかる。

 近い。近すぎる。

 三年ぶりの再会で、この距離は心臓に悪い。

「あの、もう……だいじょ――」

 言い切る前に、彼の声が重なった。

「なぜ、サクラ様が……?」

 ――だよね。

 そう思ったところで、意識は闇に沈んでいった。

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 かなり長い時間眠っていたようで、目を覚ました瞬間、自分がどこにいるのか分か

らなかった。

 豪華なベッドに身を起こし、しばらくしてようやく状況を思い出す。

 部屋を出ようと、廊下に続いているはずの扉に手をかける。

 扉を開けた、その先に――予想していた人物が立っていた。

 私が目を覚ました気配を、魔法で察知したのだろう。

 駆けつけた、という表現が一番しっくりくる。

「……お久しぶりです」

 クロト・ヴァルハルト。

 特別師団副師団長兼、巫女警護責任者。二十七歳。

 銀髪に碧眼、整いすぎた顔立ち。

 人形のようと言われがちだが、かろうじて人間らしさを保っているのは、健康的な日焼けのおかげだろう。

 このドキドキも、三年ぶりだ。

 ――恋人ぐらいはできてるよね。

 まあ、高嶺の花に相手がいようが、私の立ち位置は変わらないけど。

「久しぶりです。サクラ様、夜勤明けでしたか」

「はい……ごめんなさい、眠りこけちゃって」

「いえ。こちらの都合でお越しいただいているのですから。それより、もう疲れは取れましたか」

「はい。大丈夫です。皆さん、お待ちなんですよね?」

 彼は少し申し訳なさそうに頷いた。

「では、案内をお願いします」

 そう告げると、クロトさんは丁寧に一礼して歩き出す。

 歩きながら、私は問いかけた。

「皆さん、お元気ですか?」

「はい。変わりありません。それに……髪を、かなり切られたのですね」

「あぁ……もう呼ばれることはないと思ってましたから」

 こっちの世界では、女性は髪が長いのが普通だ。

 戻ってくると分かっていたら、ここまで短くはしなかった。

 ……どうせ、私を女性として見る人なんていないんだけど。

 それでも、意中の人には、せめて髪くらいは。

 そんな乙女心を、無意識に抱いてしまう。


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結界崩壊と再召喚の理由


 皆が集まっている結界へ案内され、挨拶もそこそこに、私はその場で立ち尽くしていた。

 ひび割れた光の糸。

 編み目がほどけ、歪みが波のように揺れている。

 結界が――目に見えて、弱っている。

「……これは?」

 言葉より先に、視線がリエット様へ向かう。

 ゼフィーリア最高位の巫女。二十六歳。

 丁寧で柔らかな所作の奥に、疲労と責任の重みが沈んでいる。

「凛は……私より、能力が上のはずです」

 事実を口にしただけのはずなのに、胸の奥がひやりとした。

 リエット様は小さく息を吐き、わずかに目を伏せる。

「そうですね。ただ――リン様は、莫大な力を、まだうまく使えていないようなのです」

「……そんなこと、凛は私には言っていませんでしたが?」

「えぇ。真実は……リン様には、お伝えしていませんでした」

 その瞬間、すべてが腑に落ちた。

 この結界の損傷具合。

 ここまで崩れているのに、凛ちゃんが異変にすら気づいていないという事実。

 ――力が足りないわけじゃない。

 使い方が、まったく追いついていない。

 なぜ私が、再び召喚されたのか。

 ようやく理解できた気がした。

 力は弱い。

 けれど私は、十年間、この結界の調整に携わってきた。

 世界を司る何かが、「これしかなかった」と判断しただけなのだろう。

 私は内心、深いため息をついた。


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魔の波長の溢出


 その直後、西南方面の結界から、魔の波長が“溢れ始めた”という報告が入った。

 最初に現れたのは、小型の魔物。

 だが、間を置かず、魔力の濁流に押し出されるように中型、そして大型の魔物が連続して出現しているという。

 すでにクロトさんを除く特別師団、ならびに第三・第五騎士団は、各地に固定された転移魔法陣を用いて現地へ向かっていた。

 討伐と同時に、可能な限りの浄化を行い、被害の拡大を防ぐ布陣だ。

 転移魔法陣は、どこにでも描けるものではない。

 古くから固定された“地点”から“地点”へ移動するしかなく、その数も限られている。

「……これは……」

 予想以上に傷んだ結界を前に、思わず言葉を失う。

 視線の先で、リエット様が深刻な表情のまま、静かに頷いた。

「魔物の討伐と、ある程度の浄化が終わらなければ、結界の完全修復は不可能です」

 そう言ってから、リエット様はクロトさんへと視線を移す。

「……あなたがいなければ、この状況は厳しいでしょう」

 クロトさんは、軽く会釈を返したあと、一瞬だけこちらを見る。

「あなたは頑張りすぎる。どうか――絶対に、無理はしないでください」

 それは命令ではなく、釘を刺すような言葉だった。

 次の瞬間。

 彼の足元に展開された転移魔法陣が、他の騎士たちのものとは明らかに違う密度で輝く。

 光が収まった時、そこに彼の気配は、もうなかった。


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戦場の気配(クロト視点)


 西南方面、結界の外。

 魔力が、異様な密度で膨れ上がっている。

 大型魔物、複数。

 小型と中型は、第三・第五騎士団が迎撃中だ。

 それぞれの師団長が前線に立ち、隊列を保ったまま押し留めている。

 判断も指示も、問題はない。

 ――問題は、大型。

 特別師団が当たっているが、前に出きれずにいる。

 魔力の濁りが、異様に濃い。

 理由は、すぐに分かった。

 ――一体だけ、核の質が違う。

 周囲の大型魔物の動きが、その個体に引きずられている。

 戦場全体の魔力の流れが、歪められていた。

 特別師団長は、特別師団の残り半分の部隊とともに城で警備に当たっている。

 現地指揮は、途中までヴァルドが担っていた。

 通信がつながる。

「特別師団、無理に押すな。間合いを保て」

 短く告げる。

 直後、地面を割る衝撃。

 結界が、わずかに軋んだ。

「……あれか」

 最も魔力の強い個体へ、視線を定める。

「ヴァルド。あいつは俺が引き受ける。ほかを頼む」

 言い終わるより早く、ヴァルドは反応し、別の個体へと標的を移した。

 魔力の圧が、肌を刺す。

 並の騎士なら、立っているだけで削られる領域だ。

 だが――計測できる。

 魔物がこちらを認識した瞬間、踏み込む。

「……遅い」

 視認を外す程度の移動。

 懐へ入り、刃を走らせる。

 狙うのは外殻ではない。

 この戦場を歪めている、核。

 断ち切った瞬間、魔力の流れが途切れた。

 爆ぜる反動。

 そして、沈黙。

 最強個体が崩れ落ちると同時に、空気が変わる。

「今だ」

 声を張る。

「あとは、各個撃破しろ」

 間髪入れず、次の指示。

「浄化担当、前へ。討伐と同時進行だ。滞留させるな」

 各師団長が、それぞれに指示を飛ばす。

 歪んでいた魔力の流れが、急速に整っていった。


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結界を「縫う」


 ――その頃、私は。

 結界の中心部で、修復に取りかかっていた。

 魔物の出現に伴い、結界の損傷は刻一刻と変化している。

 私にできるのは、結界を「縫う」ことだけだ。

 いつも通りのやり方で、いつも通りに。

 破られた部分。

 歪められた編み目。

 一つずつ、呼吸と同調させながら、結び直していく。

 魔力は少ない。

 だから、大きな損傷であっても、一度に引き出せる量はわずかだ。

 無理に流せば、私自身の魔力が、あっという間に枯渇する。

 結界越しに、戦地の気配が伝わってくる。

 爆音と振動。濁った魔力のうねり。

 クロトさんたちが、戦っている。

 ――私が失敗したら、この世界は崩壊へ向かう。

 その事実だけが、かろうじて私を立たせていた。

 汗が額を伝い落ちる。

 視界が、ゆっくりと白んでいく。

 それでも、手は止めない。

「……ここ、は……」

 どうしても繋がらない亀裂があった。

 魔力を通そうとすると、弾かれる。

 一瞬、迷いが生じる。

 そのとき――

 戦地での浄化が、急速に進んだのが、結界越しにも分かった。

 濁りが薄れる。

 圧が抜ける。

 ――いける。

 最後の亀裂を、慎重に塞ぐ。

 結界が、静かに応えた。

 とても薄い。

 それでも、確かに――修復は完了している。

 胸をなで下ろし、そっと息を吐いた。

 あとは、リエット様が二重の強化を施してくれるはずだ。

 これで、数週間は持つ。

 ――今の私にできるのは、ここまでだった。


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 結界は、かろうじて――だが確かに、再び世界を隔てる役割を取り戻していた。

 私は、リエット様が結界にさらなる強化魔法を施す様子を、ぼんやりと眺めていた。

 久しぶりに力を使ったせいか、体がだるい。

 意識の奥に、眠気が滲んでいる。

「……間に合ったのかな?」

 誰に言うでもなく、そう小さく呟く。

 その背後に、温度を伴った気配が立った。

 振り向くと、クロトさんがいた。

 おそらく、転移魔法陣で戻ってきたのだろう。

 私の、本当に小さな声が、聞こえていたのだろうか。

「はい。――十分すぎるほどに」

 その言葉を聞いた瞬間、私はようやく、全身の力を抜くことができた。


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要請


「今までとは逆に――

 事態が落ち着くまで、こちらの世界を主に来ていただくことはできないでしょうか」

 リエット様の言葉に、足元が揺らいだ。

 ――やっぱり。

 嫌な予感は、していた。

 この結界の壊れ具合だ。修復には、私の力でも時間がかかる。

 凛ちゃんの能力が完全に開花するまで、週1の往復では足りない。

 下手をすれば、私一人が週1のみで来ていたら十年単位になる。

 けれど――

 私が二年ほど、こちらの世界を主に滞在すれば、ある程度の状態までには戻せる。

 視線が、一斉に私へ集まる。

 国王レオンハルト様。

 温厚な表情の奥に、国を存続させるための計算が見える。

 王妃セレスティア様は、私の呼吸が浅くなったことに気づいたのか、ほんのわずか眉を寄せた。

 王子アレクシス様は、まっすぐこちらを見つめ、唇を噛んでいる。

 宰相マティアス様は、感情の欠片も見せない。

 ――「必要だから頼む」。それだけの目だ。

 軍務卿ローデリヒ様は、戦況と損失と時間を、冷静に天秤にかけている。

 神殿長エルヴィーラ様は、柔らかな表情のまま、頑固な覚悟で沈黙していた。

 騎士側では――

 特別師団長ヴァルター様が、私の顔を真正面から見ている。

 評価と敬意、その奥にあるのは、「使い潰させない」という意思。

 第三騎士団長カイル様は、私の手の震えを、見逃さない目をしていた。

 第五騎士団長エドガー様は、礼儀正しく、けれど冷えた合理でこちらを見ている。

 個人ではなく、仕組みとして。

「……考える時間をください」

 声が、思ったよりも静かに出た。

「一度、自宅に帰ってもいいですか。

 私だけで決められる問題ではありませんから」

「えぇ、もちろんです」

 リエット様は、申し訳なさそうに頭を下げた。

「サクラ様には、いつもご無理ばかりをさせてしまって……

 本当に、申し訳なく思っています」

 その「申し訳ない」は、きっと本心だ。

 けれど――

 謝られたところで、結界の崩壊は、待ってくれない。


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二人きり


 その後、私の疲労に気づいたクロトさんが、部屋まで護衛してくれた。

 気づけば、二人きりになっていた。

「……大丈夫ですか」

 気遣う声は、いつもと変わらない。

「えぇ。さすがに……すぐには返事ができなくて」

 正直な気持ちをこぼすと、彼は静かに頷いた。

「サクラ様が、どのような結論を出されても――

 私の立場は変わりません。

 ですから、ご自分のことを、最優先になさってください」

 その言葉は、きっと本心だ。

 騎士としての、誠実な答え。

 ――でも。

 だからこそ、胸の奥に、ちくりとしたものが残った。

 私は、少しだけ意地悪を言いたくなった。

「クロトさんは、貴族階級の方なんですよね」

「……えぇ」

 突然話題を変えたことに、彼はわずかに戸惑ったようだった。

「ご実家には、お手伝いさんや執事さんもいるんでしょう?」

「……実家には、いますが」

「私は、元の世界では平民でした」

 言葉を選ぶように、続ける。

「でも、この世界では巫女という立場のおかげで、

 本来なら関わることのない高貴な方々に守られて……

 すごく、大切にされています」

 彼の表情が、ほんの少し硬くなる。

 こういう言い方を、彼が好まないことも、分かっている。

「私、この世界に来る前は、本当に地味に生きてきたから……

 少しだけ、憧れていたんです。

 “特別”っていう立場に」

 一度、言葉を切り、息を吸う。

「でも、違いました。

 特別ということは……自由がない、ということだった」

 これは、ただの八つ当たりだ。

 分かっている。

「それでも……この世界にも、今まで出会った皆さんにも、愛着はあります」

 最後は、いつものように、笑ってみせる。

「できる限り、力にはなりたいなって、思っています」

 クロトさんは、何か言いかけて――

 結局、言葉を飲み込み、俯いた。

 きっと、投げかけるべき言葉が、見つからなかったのだろう。

 ――やめよう。

 意地悪な言葉の代償は、いつも巡り巡って、自分に返ってくる。

「そんなに、真剣に考えないでください」

 私は、少しだけ軽い調子を装った。

「少しくらい愚痴を言ったって、罰は当たらないですよね」

 そう言って、笑った直後だった。

 ふっと、視界が揺れた。

 床が、一瞬だけ遠くなる。

 次の瞬間、クロトさんの指先が、私の手首を掴んでいた。

 引き寄せられるほどでもなく、支えられるほどでもない。

 ただ、倒れない位置で、ぴたりと止まる。

「……無理をしないでください」

 声が、わずかに低い。

 私は思わず、瞬きをした。

 それから、少しだけ視線を逸らす。

「……そればっかりですね」

 冗談めいたつもりだった。

「職務ですから」

 言い切った直後、彼は一瞬だけ息を止めた。

 まるで、自分で自分の言葉に驚いたみたいに。

 すぐに、いつもの表情に戻る。

「……失礼しました。

 部屋まで、送ります」

 手首は、もう離れていた。

 なのに、そこだけが、妙に熱かった。


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眠り


 部屋の前まで来たところで、足取りが少し怪しくなった。

「……少し、休みますね」

 自分でも驚くほど、小さな声だった。

 クロトさんは何も言わず、静かに扉を開けてくれる。

「おやすみなさい」

「……おやすみなさい」

 短い挨拶を交わし、扉がそっと閉まるのを見届けてから、

 私はそのまま、ベッドへと身を倒した。

 その瞬間、意識がゆっくりと沈んでいく。

 今は、何も考えずに眠りたい。

 そう思ったところで、私はそのまま、深い眠りに落ちた。

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