愛情

山田すゞらん

愛情

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 2月17日、私の誕生日です。私は今日で27歳になりました。誕生日になるといつも誰かが花束を送ってくださるんです。

 それは私が17歳のときから始まりました。そのときは、花束に加えてお菓子とか、飲み物とか、色々貰いましたね。でも花束が1番多かったかも。あれから、…かれこれ10年かな、今も変わらず熱心に花束を送ってくださる方が2人もいるんです。しかもメッセージ付きで。

 ちなみに一年目はこんなメッセージでした。

「誕生日おめでとう。果穂に会いたいな。」

 2年目、

「誕生日おめでとう。来年は成人だね。果穂のことは一度も忘れてないよ。」

 3年目、

「誕生日おめでとう。今年で成人だね。一緒にお酒飲みたいな。」

 4年目、

「誕生日おめでとう。会いたくてたまらないよ。」

 5年目、

「誕生日おめでとう。もう5年も会っていないね。果穂がいないのは寂しいよ。」

 6年目、

「誕生日おめでとう。少しで良いから声が聞きたいな。」

 7年目、

「誕生日おめでとう。果穂に会いに行こうか迷ったよ。でも果穂の許可なく会いに行ったら怒られるかなって思ってやめにしたよ。」

 8年目、

「誕生日おめでとう。果穂は今どうしてる?僕らは毎日君を思い出してるよ。」

 9年目、

「誕生日おめでとう。もう会えなくて9年経ってるよ。こんなに会えないのは初めてだから寂しいよ。」

 そして今年、私は今日27歳になりました。そして今年はこんなメッセージでした。

 「誕生日おめでとう。10年も経ったけど、まだ君のところには行けそうにないな。ごめんね。」

 初めの方は、贈り物をしてくれる人が何人も居たんですけどね……。今はあの2人だけ。大人になるにつれてだんだん人との関係が薄れていくのは仕方のないことです。でも、正直に言うと、贈り物の数がどんどん減っていくにつれて、私、忘れられたんじゃないかって不安になります。

 

 

「続いてのニュースです。2009年に起きた、通り魔殺人事件の犯人が逮捕されました。この事件は、今から10年前の2月17日に、〇△市で17歳の少女が刃物で襲われた事件です。亡くなった少女のご両親に話を伺いました。」

「………。今でも夢に見ます。あの子が死んでしまうぎりぎりに電話で、今までありがとうって、私死んじゃうけど私のこと忘れないでね、って……言ってたんです。あれから10年経ったけど心の傷は癒えないです。癒えるわけないです。毎年僕たち夫婦で事件現場に花束を置くんです。大丈夫だよ、忘れてないよ、忘れないよって伝えるために。」

「犯人を許せません。いや、許しません。なんであの子がって毎日思います。……あの日、家であの子の、果穂の好物を全部作って待ってたんです。…果穂の17歳の誕生日だったから……。果穂は誕生日に殺されたんです。あんなに優しくて真面目な子がなんで……、殺されなきゃいけなかったの…。」

 

 

 大丈夫だよ、お父さん、お母さん。こっちで幸せにやってるよ。毎年手紙も読んでるよ。

本当は分かってるよ。誕生日にくれるあの花束が献花だってことも、警察の捜査を逃れるために誰かに罪をなすりつけたことも……。毎年手紙を書いてたのは疑われないためなんだよね。


私、全部、知ってるよ。

 



 罪悪感に押し潰されながら、ずーーっと、私のこと忘れないでね。

 

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愛情 山田すゞらん @s_zt1

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