歌詠、留意、多々
葛西和希
秋の田の
あれはたしか小学生の時。ヒュッ――ダン。腕が振りぬかれ、札を払い、畳をたたく。そんな音が会場中に響きわたる。なぜだか、僕はその光景から目を離すことができずにいた。
2025年4月。僕は高校生となった。進学先は地元で有名な公立の進学校、そして競技かるたの伝統校としても有名な高校、
「なーにボケっとしてのんさ」
「いや…ちょっと考え事してただけ」
「あぁ。やっぱり朝は白米だよな」
会話がかみ合わないがいつものことだ。幼少期からの仲だが、いまいち人柄がつかめない。会話がかみ合わない空気が読めないやつかと思えば、ものすごく相手の気持ちに深く刺さる言葉を投げかける聖人にもなる。こいつがナンパ師になったら、何人も引っかかるだろうなと失礼だとは思うが考えてしまう。それくらいこいつの話術は人を引き付ける。
「で、
「あぁ…俺はいい」
「だよな!やっぱ軽音だよな!」
「…違くて。俺は帰宅部」
「えー!もったいねえ。中学の時はあんなにかるたばっかしてたのによー」
ぎくりとした。そこはあんま触れてほしくない部分だ。
「なんか飽きちゃってさ」
「嘘だー」
そう、嘘だ。それが分かっているからこそ、自然と足は早まった。言われなくても分かっている。しかし、いざ言われてみると本当にそうだったか自信が持てなかった。
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