The Moonlit World 〜指名手配犯の友を追うまで〜

創形月

第1話 満月を眺めて

今夜は満月だ。

シュウトは夜空をぼんやりと眺め、満月に目を止める。

なんだが久しぶりに夜空を眺めた気がする。

やはり、夜の方が落ち着く。

穏やかな風に髪をなびかせ、ペットボトルの水を口に入れた。


しばらくしてから、家に戻ると玄関に"チョコラ"が出迎えてくれた。

チョコラとは、ペットのハムスターである。

怪我をしていたチョコラを、シュウトが拾って以来一緒に暮らしている。


「シュウトくん、またあのニュースやってるよ。」


リビングへ向かい、テレビに目を移すシュウト。

チョコラが"また"と言うくらいなので、このニュースは以前から知っていた。

画面には女性キャスターの横に、指名手配犯の男が映っていた。

また、見出しには[テロリスト ギン 目撃情報あり]と書かれていた。


「最近このニュースばかりじゃないか・・・。」


指名手配犯の男の名は、"ギン"といい、なんとシュウトの友人である。

そのため、今回のニュースが気が気でなかった。


昔はテレビゲームで遊んでいた仲で、

近頃では、たまに電話するくらいの関係だった。

しかし、最後に電話したのがいつだったかは覚えていなかった。

そのため、最近電話していないなと思ったら、こんなニュースで驚かせるなと思った。

初めてこのニュースを観たときに、電話をかけたが出なかった。

こんなに心配するならば、もっと頻繁に話しておくべきだったと後悔している。


寡黙な性格のギンは、こちらが近況を聞かないと自分からは何も情報をよこさない。

しかし、悪事を起こすような奴ではない。

自分自身もそうだが、ギンは悪事に手を染めたことがないのだ。

彼は正義感が強く、気の合わない者とは関係を持たない。


テレビに映る女性キャスターが、

ギンの目撃現場に居るリポーターと中継を繋ごうとしたところで、テレビの電源を落とした。

こんなニュースを聞いていられないからだ。

こんなニュースは嘘に決まっている。

というか、友人がテロリストだなんて信じたくもない。

シュウトは急いでパソコンを立ち上げ、目撃情報のあった場所を調べ始めた。

険しい表情でタイピングする様子をチョコラが気にかける。


「まずは目撃情報のあった地へ向かうか・・・!」


ギンに真実を確かめに行くためだ。

パソコンの電源を落とし、椅子から立ち上がる。

だが、流石に寝ないといけないので、旅立ちは朝に決めた。

すると、チョコラが声をかける。


「僕もついていっていい?」


シュウトは申し訳なさそうに断った。

これは自分とギンの問題であり、チョコラを巻き込みたくなかったためだ。

残念がったチョコラだったが、素直に聞き入れてくれた。

長旅になると予想したため、チョコラを知人宅へ預けることに決めた。

さて、朝になったら旅立ちだ。

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