きみの短い物語

はくすや

第1話 知っているのは私だけ

 きみは朝五時に目覚める。


 タオルケットから薄手の布団に替えたのはつい三日前だ。



 手元で充電していたスマホで時刻を確認し、再度眠り、アラームでたたき起こされるのもいつものことだ。


 そしてやおら体を起こし、ベッドから右足をドンと床に下ろす。


 下の階に響いたかもと思い、身をすくめてその後、抜き足差し足になるのも可愛い。



 そしてトイレに消える。一分して再び参上。


 きみは冷蔵庫まで移動する。まずは水分補給だ。



 きのうの夜作り置きした麦茶をコップに注ぎ、牛乳を飲むかのように腰に手を当てた仕草で豪快にあおる。


 テーブルにとんとおいて、ぷは~と息を吐く。



 そしてきみは思い出したかのようにテーブルの真ん中にある写真を手にとりキスをする。


 それがきみのルーティン。



 知っているのは写真に写った私だけ。


 今日もきみは愛らしい。




**********

2025年9月29日 monogatary.com お題「知っているのは私だけ」

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