amblance
翌日。
布団から起き上がり、軽く運動してから、ぼんやりと携帯で時間を確認する。
まだ朝の4時だ。
界瀬は居なかったので朝食でも作っているだろうなと、寝室を見渡していると、ちょうどチャイムが鳴った。
玄関まで出てみると、ツインテールの髪を元気よく揺らす彼女が居た。
「やっほー! 来たよ」
橋引は、市内の高校に通っている元気な女子高生。超能力者。
幼い頃から会社にも寄り付いていて仲が良く、妹のように可愛がっている。
活発そうなまん丸の目と、長い睫毛。
前髪には今流行っているラメ入りのピンを留めている。
今日は制服のシャツでそのまま来たようだ。
「うん。おかえり」
「ちがうよ! おかえり、は家族とかが戻ってきたときの台詞でね、こういうときはいらっしゃい」
「そうだった」
「それより、まだ……いないよね」
橋引が辺りを窺うようにキョロキョロと首を回す。界瀬の事だろう。
「うん」
「内緒だからね。こんな話、見つかったらきっと勘ぐられちゃうし」
「わかってる」
この前、橋引に恋愛について相談した。
界瀬と居ても寂しいと感じるのは何故なのか?そんな話だったと思う。
「感情は全部仕事に使っているから、ベースとして比較できるものが全然無いのが悲しくて」
自分の経験とさえも照らし合わせられなくて、
想像しようにも、その想像すらうまく出来ない。
脳内に絵が浮かんでこないのだ。
他の物を作成して昇華する事もままならないし、イメージを膨らませる為、まずは人伝に聞くくらいなら出来そうである。
「そうだなぁ。確かに私の力は念動力だから、精神性はそこまで関係無いけど」
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