第2話
授業が始まっても、別に何にも支障がない程度に昼休み前までは進んだ。
チャイムが鳴り、皆、腹を空かせて、教室で弁当を食べるのか、購買で買うのか、学食にするのか、の三択を短時間で迫られている。
俺は無論、購買か、学食。俺の親はそんなに甘くはない。お金は貸してあげれるが、弁当と言う物を作るのは金輪際無いと断言させられた過去の記憶が咄嗟に過ぎり、机に向かって溜め息を出す。
「──の、──野」
顔を上げるとボヤケて聞こえていた声が鮮明に耳鳴りするレベルで通る。
「明野!!」
「はい!?」
声を裏返らせてから、顔をピシッと上げれば、俺を呼んでいた人物は左側から俺の視界にダイレクトに入ってきた。
「うわ!?」
「お前驚きすぎじゃね? 貧弱っていうか、やっぱりそういうことで、足ぶつけたわけ?」
赤い短髪に茶色の瞳、それに少し筋肉質で体育会系のように肩幅あるクラスメイトが軟弱に見える中肉中背の俺を心配しているのか、呆れているのか分からないくらいの目で俺を覗き込む。
「別に貧弱でもない。少しは鍛えているし」
片手で思わず反抗するように握り拳を作る。
と言うか、お前は誰だ、名を名乗れと言いたいが言えないまま、睨み付けていると、彼は「オーマイガー」と、ふざけたジョークのように言い、驚いては俺に対して詫びのように一礼してから顔を上げる。
「俺はこのクラスで一応、学級委員レベルくらいには有能な
義務感で話し掛けたのか、そうですか、俺は少しだけ歯をギシリと鳴らし、不満をこぼれさせる。
「別に、義務もあるけど、お前に少し興味があるにはある。だから、昼ご飯、一緒にどうだ?」
俺の歯ぎしりはガン無視か、これは大物だと思えてきたな……それに面倒くささも見え隠れしているし……と悩む皺を寄せたり離しながら、俺は本題はこれかと、ちらりと相手と視線を合わせる。
「ごめん、俺とご飯は面白くもないと思うぞ」
初日から味が濃い男と一緒に昼飯を食べるなんてどうかしている、絶対に女の子が近寄る機会すら与えられなくなる、それはまずいと俺の魔術でも何でもないテレビやネットの世界の知識が警告している。
「俺を無視したい気持ちは分からなくもないが、お前、それだとずっとぼっちかもしれないぞ?」
「それでもだ。俺はお前とは関わりたくない、義務以外で……」
追加するように義務なんて言葉を口にしてから蓮見はつまらなさそうに「これだから堅物は」と吐き捨てるように俺に聞こえるように言い、俺の元から立ち去った。
知らない誰かと話すのはとても疲れる。
肩の緊張感が途切れたときに、また針のような棘が脳髄に掛かって、俺は驚いて、椅子を引くように立ちあがって見渡す。
誰だ、朝から俺に何か言いたげの様に、魔術をこちらに撃って来そうな気配は!
俺は怒りを薬缶のように沸々と沸かせながら、常識外れたその何者かは誰なのか知りたい。
俺はお前のものでも何でもない!! 永江怜衣 @azaayumi
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