まるで名画のようなこの世界
ファシャープ
第1話
16、7時頃だ。
空に浮かぶまだら雲は、下がオレンジからピンクにかけて、上は深く灰に近い青になっていた。
背景は地平線から天にかけて、淡いサーモンピンクから薄明るいブルーに変わっていた。
下を覗けばもう夜の入り口が私を誘っている。
街頭の明かりがポツポツと光り出したと思えば、橋の上で自転車に乗るなんでもない通行人が、何か名画のような登場人物に感じられる。
台車の車輪を引く音が、そこの市場に広がっている。
外の匂いは、冷たく澄んでいて、なぜだか過去と未来と、そして今を生きる自分が共通する匂いをしていて、私はその匂いが大好きだった。
手元に置かれた眼鏡、油彩画の画材、電子キーボード。
カーテンの裾から差し込む、冷たくも緩い光に照らされ、それぞれは輝いていた。
気付けばもう、雲を照らす光は消えていて、閑散とした機械の音が耳に入ってくる。
騒然となる心の中は、まだ、あの景色を求めているようだった。
私たちは、手の届かないあの空に、思いを預けるのだろうか。
まるで名画のようなこの世界 ファシャープ @Fasharp2
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ことば/彩霞
★48 エッセイ・ノンフィクション 完結済 105話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます