魔法少女はこれでいい!

あんたレス

第1話



 4月8日。今日から高校2年生が始まる。早く学校に行って友だちと話をしたい、クラスはどうなっているか見てみたい、そう思っていた。

(そこのあなた!魔法少女になってください!)

突然こんな声が聞こえた。

「は?」

思わず不良のような反応をして立ち止まってしまった。今なんて言った?魔法少女って言った?そんなわけないかと思い再び歩こうとした時、

(そんなわけなくないです!魔法少女って言いました!)

と聞こえた。すごい心を読んできた。誰が何のためにこんなことをしてきてるのか全くわからなかった。少し怖くなったので無視をしてやり過ごそうとしたら、

(怖がらせてしまってごめんなさい!すぐに姿を見せるので無視しないでください!)

今から得体のしれない何かが姿を現すということはもっと怖いことであるわけだが、言葉遣いと声を聞くに悪い何かではなさそうだから私はこう言った。

「割と早く学校に着きたいから歩きながらでいい?」

そう言うと何かは、

(別に大丈夫です!)

そう聞こえたので私はキョロキョロしながら通学路を歩いていたら、突然目の前が少し眩しくなりその中から真っ白な埃のようなものが姿を現した。


 その白い埃のようなものは私の左斜め前をふわふわと浮いている。思わず手で払ってしまいそうになってしまうが、あくまでこの物体には自我があるし私に用があってここに浮いている。

「さっきは驚かしてしまってすみませんでした。」

そう謝ると白い埃は、お辞儀をするように上下に動いた。

「いや、別に怒ってないからいいよ。ちょっとびっくりしただけ。」

こちらは迷惑ではないということを伝えると、その白い埃は話を始めた。

「先程も言ったんですが、魔法少女になってほしいんですよ。」

その【魔法少女】という言葉が現実味を帯びてなさすぎてとても気になる。そんなことを考えている間にも白い埃は話を続けた。

「実は今、世界中に普通の人間には見えない人間に害を与える魔物がとても増えているんです。それに対して魔物を退治する魔法少女の存在が少ない状態なんです。だから魔法少女になってほしいんです。」

この世界には魔法少女がいるということに驚いた。そして、その魔法少女に私がなるかもしれないということにさらに驚いた。

「魔法少女って死ぬの?」

ふとそんな質問を投げかけた。テキトーに魔法少女だからずっと生きて魔物を退治し続けるのかと思ったからだ。その質問に白い埃は、

「魔法少女も普通に死にます。魔物に殺されたり、魔力が底を尽きたり、病気になったり死因は様々です。ただ治癒魔法があるのでちょっとした外傷はそれで治してしまう魔法少女がほとんどです。」

魔法少女だとしても中身は普通の人間なんだから病気にはなるか。魔法少女になったら魔物と戦わなくちゃならなかったり魔力の管理をしなくちゃならないだろうけど、今16歳で死ぬ危険性が普通の人より高くなってしまうのは嫌ではある。

「魔法少女になったところでなぁ。」

 そんな会話をしていると後ろから声を掛けられた。

「あずーみおはよ~ん」

この気だるそうな声は間違いなく、由媚(ゆみ)だ。中学1年生からの同級生で、その時からずっとこのテンションのやつ。まぁこのテンションがいいんだけども。

「今日クラス発表あるじゃん?また一緒のクラスになれるか楽しみだよねぇ~」

確かにこの子と一緒のクラスになると毎日が楽しくなるが、今はそれどころではない。魔法少女のことが頭から離れない。どうしたものかと考えていると白い埃が、

(私のことはお友だちには見えていないので安心してください。あとお友だちには魔法少女のことは絶対に言わないでください。)

と言われた。とりあえずこの白い埃が見えていないことは安心した。しかし、高校2年生になっていきなり魔法少女のことを喋ったら、まず信じてもらえないだろうし、遅めのキャラ変と思われる可能性が高い。言うわけがない。


 今日は新学期だから授業はないだろう。教室で先生の話を座りながら聞くのは退屈だ。窓の外を見ると校庭があり、木が所々に生えている。その中の1本の木をぼーっと眺めていると、何か黒いものが木の茂みの中からボトッと落ちた。猫が木から落ちたのかと思って目を細めてよく見たら、その黒いものはぐにゃぐにゃと形を変えてこの世のものでない赤い目の獣に変化した。

「え。やばくね?」

そうポツリとつぶやいたその時、その獣と目が合った。遠くだというのに背筋がゾクッとした。あまりの恐怖に視線を逸らすのに精一杯だった。でも、その獣をどうしても見たいという好奇心が少しあり、前を見つつ獣を視界の隅に入れておくことにした。あの獣は様子を窺っているのか動いていないように見える気がする。頼む、こっちに来ないでくれと心の中で祈っていると、その獣は学校の倉庫の方向へ歩いて行った。あれが魔物?なんで魔法少女になってないのに魔物が見えるようになってんの?そう考えていると、

(あれはまだ成体になってない魔物です。今の内なら退治できますよ。)

なんか私が魔法少女になるって思ってないか?あんなのには関わりたくないし、魔法少女はいないわけじゃないんだからその人たちに任せておきたい。

(いやいや、退治しておきたいって言ってるけどまだ魔法少女になるって決まってないから。しかもなんで私は魔物が見えるようになってるの?)

(私があなたに干渉した時点で見えるようになってしまうんです。ここら辺には魔法少女がまだいないからあなたが魔法少女になって魔物を退治しないと町が大変なことになってしまうんです!)

とても面倒だ。しかもあんな魔物1体で町が被害受けるわけがないだろうし、成体になったとしても大した被害は出ないだろう。早くどこか行ってくれないか。

(すみません!ちょっと体をお借りします!)

「え?」

 勝手に体が席から立ちあがる。

「日野、急に立ち上がってどうした?」

「ちょっとトイレに行ってきます!」

勝手に口が動く。

「あずーみトイレが近いのやばくな~い?」

「・・・」

教室の戸を勢いよく開け階段勢いよくを下り、昇降口へ走っていく。

(ちょっと!なんで勝手に体を動かしてんの!)

この白い埃はこんなこともできるのか。自分の体が勝手に動いている不思議な感覚。走っているのに風を感じないし、匂いも感じない。ただ聞こえるのは廊下を走っている自分の足音と、自分の息遣いだけだ。喋っているのに口の感覚もない。ていうかこんなことを考えてる時じゃない!

「体をお借りしてすみません!どうしてもあの魔物を倒さなくてはならないんです!」

(怖いからやめてよ!あんなやつのところに行きたくないし、魔法少女なるかまだ決めてないよ!)

「そうですけど!」

あがこうとしてもあの魔物のところに向かって行ってしまう。勘弁してくれ。


 昇降口から出て倉庫は右斜め前に見える。その倉庫に走っていく自分。近づくにつれて疲れで息遣いが荒くなっていってるのがわかる。あの倉庫の陰に魔物がいるのかもしれない。だんだん怖くなってきた。もし襲われたら今日死んでしまうのだろうか。そんなことを考えていると倉庫に着いた。と同時に体の自由が利くようになった。

(ここから覗いてみてもらってもいいですか?)

少し震える手を抑えながら恐る恐る覗いてみると、さっき窓から見えた魔物がいた。思っていたより大きい。大人の柴犬ぐらいはあるだろうか。気付かれないように静かに覗くのをやめる。

(あんなのと戦うなんて無理だよ!まだ魔法少女になってないんだし!なりたくないし!)

(まだ幼体なんですから魔法少女になればすぐに退治できます!大丈夫です!)

やりたくないというこっちの意を酌んでくれない。しかもまだ幼体なんだからそんなに焦ることではないと思う。

(まずこっちの話を聞いてほしいんだけどさ、私じゃなくても魔法少女になれると思うんだよ。だから他の人になってもらうっていうのはどう?)

(いや、あづみさんはあくまで私の勘なんですけど、絶対に素晴らしい魔法少女になると思うんです!)

(由媚じゃだめなん?)

(・・・そうですねなんか自分の中で違うような気がするんです)

とても不純な動機だ。気がするってどういうことなんだよ。私が何か魔力的なものが多いみたいな理由は何もないのか。

(絶対私より魔法少女に向いている人いるって!私じゃなくても大丈夫だって!大体さ、大した理由もないのに魔法少女にしようとするなんてなんかおかしくない?もっと具体的な理由を)

突然体が前にギュンと持ってかれ、そのあまりの衝撃に顔から転んでしまった。

「顔痛ぇ!なんでいきなり体動かすの!」

白い埃に文句を言うと、

(後ろに来てたからです!)

後ろを振り向くと、さっきの魔物がこちらに向かって威嚇をしているような態勢を取っていた。呻き声のような声も聞こえる。これは・・・

(逃げてください!)


 魔物はこっちを威嚇している。逃げてくださいと言われても恐怖で脚がすくんでしまって動けない。

(もうなんでこんなことになってるの!ただ先生の話を聞いてるだけだと思ってたのに!もうなんで私が魔法少女の候補に選ばれてんの!もうなんでこの辺に魔法少女はいないの!もう!もう!もう!)

あの白い埃には聞こえているだろうけど、頭の中で文句を言ったって意味がない。

「や、やばいかも。どうすればいい?」

白い埃に助けを求める。頭の中ではたくさん言えるのに、声には出ない。

(今変身をすればこの魔物もすぐに退治できます!大丈夫です!)

魔法少女になるしかもう選択肢はないのだろうか。何かその辺に追い払う物がないかと探したが、小さな木の枝しかない。

「本当になんなきゃいけないの!?枝とかでつつけば追い払えないの!?」

(当たりはしますが、魔力が宿った物しか攻撃が効かないんです!)

当たってんだったら少しはダメージ入らないのだろうか。じりじりと魔物が近づいて来る。もう考えている時間はない。

「わかったよ!魔法少女なるよ!武器はどこにあるの!」

(わかりました!では武器の形と自分の衣装を考えてください!衣装さえ決まれば魔法少女になることができます!)

「なんもしてくんねぇじゃん!」

思わず声に出してしまった。魔法少女になれば衣装とか武器は支給されるかと思ってた。しかも衣装も考えないといけないとか、どうなっているんだ。どうしようかと考えていると、魔物が襲い掛かってきた。魔物に噛まれそうになったが、奇跡的に魔物の口を掴んで口を開かないようにすることができた。でも爪で引っ掻かれてしまう危険性がある。今の内になんとか衣装だけでも決めるしかない。

「他の魔法少女はどんな衣装で戦ってるの!」

(ドレスのような格好の人とかミニスカートの人が多いみたいですよ!)

ドレスを着てると魔物と戦っているとき邪魔にならないだろうか。ミニスカートなんて下から見たらパンツが丸見えになってしまうではないか。私はそんな戦いの邪魔になるような格好や恥ずかしい衣装にはなりたくない。もっと動きやすくて恥ずかしくない格好になりたい。そして思いついた衣装は、


「体操着!体操着の衣装にして!」


 体が白い光に包まれる。着ていた制服がぱっと消えて、一瞬下着だけになったがすぐに体操着が現れた。そして靴も革靴から運動靴に変わった。運動靴も体操着の一部という扱いなのか。

「おぉぉ・・・」

変身した自分に少し感動していたが、魔物の口を掴んでいるということをすっかり忘れていて、思わずその口を離してしまった。魔物が噛みつこうとしたとき、目の前に薄くて丸いオブラートのようなバリアが現れ、魔物の攻撃を防いでくれた。魔物が牙でガリガリ噛もうとしているが今のところ傷つく気配はないし、割れる気配もない。急いでその魔物から距離を取り、一旦落ち着いて次の行動を考える。

「どうしようか。魔力が宿っている物だったらなんでも攻撃が通用するの?」

(はい!木の棒でもその辺の石でも魔力が宿ってさえすれば通用しますよ!)

聞こえてくる声からウキウキしているのが伝わる。どんだけ私になってほしかったんだ。


 魔法少女の衣装はなんとか考えることができたというか既存のものを想像しただけだが、武器の形は一向に想像できない。ていう石でも魔力が宿ってれば通用するとも言ってたな。

「手のひらにギリギリ収まるぐらいの石ある?」

(右後ろに何個かありますよ!)

その言葉を信じて右後ろに走る。石が3個転がっているのが見える。一応全部拾って魔物がいる方向を見る。まだ牙でガリガリしているが、バリアがかなりひび割れているのがわかる。

「あれって何回も使えるの?」

(何回も使えますが、今のあづみさんの魔力量ではあと1回が限界です。)

あと1回しか使えないのか。その1回をどう使えばいいんだろう。できるだけ隙が大きいときに攻撃を与えたいし、できれば一発で仕留めたい。その時、目の前のバリアが割れて魔物がこちらに向かって走ってきた。ここではバリアはまだ使いたくないから今は避けるしかない。走ってきたと思ったら目の前で飛び上がって襲ってきた。予想外の行動をしてきたので避けるのが少し遅くなってしまった。顔の左側ギリギリを魔物が通過していったが、後ろ足が肩に当たって切り傷を負ってしまった。

「痛いなぁ。なんで後ろ足にも爪が生えてるんだよ。まぁ動物っぽいし生えてるか。」

あの爪に毒とかなければいいけど。治癒魔法を使ったらバリアが使えなくなるかもしれないから使えない。少し痛いけど我慢すれば大丈夫。あの魔物はさっきと同じように飛び掛かってくるのだろうか。

「ねぇ、もし私がさっきと同じように魔物と距離を取ったら飛び掛かってくると思う?」

一応私よりは魔物について詳しそうだから埃にも聞いてみる。

(恐らくまだ幼体なので、学習能力は低いと思われます。だからさっきと同じように飛び掛かってくると思います。)

「よし。じゃああの魔物が飛び掛かってきたら、バリアを使ってあいつを力いっぱい押す。それでもし隙ができたら、石を投げて退治しかない。」

こんな適当な作戦で倒せるかわからないけど、賭けてみるしかない。

「とりあえず石に魔力を宿らせたいんだけど、どうやるの?」

(石に光が集まるようなイメージをすれば宿ると思います。)

正直意味がわからないけどとりあえず聞こえたとおりにやってみたら、石が少し白い光に包まれて少し温かくなった。恐らく魔力が宿ったのだろう。

「バリアとかって特定の場所につけることってできる?左手の甲のあたりにつけてほしいんだけど。」

(大丈夫です!)

左手の甲のあたりにバリアが出現した。これでこちらの準備は完了した。石を2つズボンのポケットに入れて軽く深呼吸を1回する。自覚はないだろうけど、わざわざ待っててくれた魔物に感謝をしつつ走り出す。


 少し走ったところで振り向くと、魔物がこちらに向かって走ってきていた。バリアを前面に構える。

「飛び掛かってこい飛び掛かってこい飛び掛かってこい・・・」

そう祈っていると、予想通り飛び掛かってきた。よし来たと思い前に走り出す。魔物が勢いよく落ちてくる。魔物の斜め前にすばやく入り込みバリアを構える。そして魔物がバリアにぶつかった瞬間勢いよく押し込もうとするが、全然押すことができず尻もちをついてしまった。

「痛ったい・・・。魔物は!?」

魔物は怯みもせずに着地をしていた。そして私が息つく間もなく魔物は私の方に突進をしてきた。少しひびが入っているバリアを自分の体の前に持ってきて、なるべくバリアの範囲内に自分の体が収まるようにしゃがみ込む。魔物はバリアに勢いよくぶつかったが、突進を続けている。バリアが上に上がってしまわないように左手を抑える。今の内に次の手を考えないと両手が耐えられなくなってしまうかもしれない。

「早くしないとバリアも壊れちゃうかもしれないよ!何か考えとかある?」

(折角魔物が目の前にいるんですから今の内に石を投げてしまえばいいのではないでしょうか?)

確かにそうだ。目の前の魔物は突進をすることしか考えていないような気がする。だったら今の内に何とかできるんじゃないか?バリアももうすぐ壊れてしまいそうだからそんな考えている時間はない。夢中になって石を投げようとしたが、石が手から離れず石で殴ってしまった。そしたら魔物が怯んで攻撃が一瞬止んだ。この隙を逃すわけにはいかない。私は魔物の前足を掴み、頭の部分を石で何度も殴りつけた。魔物は抵抗をして私の腕や脚を引っ掻いている。引っ掻かれている左腕が痛すぎて感覚がなくなってきた。私はその痛みに耐え魔物の頭を殴り続ける。ぐしゃぐしゃと嫌な音を立ててその度に嫌な感触が手に伝わってくるが、この生き物はあくまで魔物であって犬とかかわいい生き物ではないと自分に言い聞かせて何度も何度も殴りつける。

「早くいなくなってよ!何回も殴りたくないんだけど!」


 そう殴っている内に魔物はビクビクと痙攣をして動かなくなり、さらさらと砂のようになって消えてしまった。

 「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

やっと魔物を退治することができた。息が上がってうまく呼吸ができない。殴っていた右腕にはもう力が入らなくなり、左腕と両脚には魔物に引っ掻かれた傷が入っており血が滴っている。

「痛いん・・・だけど・・・これって・・・治せるんだっけ・・・」

(はい、治せますよ。傷の部分に手のひらをかざして治るように念じてみてください。)

左腕と脚に手をかざして治れ治れと念じてみると時間が巻き戻るように傷口が閉じていくのがわかり、少し気持ち悪かった。そして完全に閉じ切り痛みも血もなくなった。

「あれ。服ってどうやって元に戻すの?」

(変身解除って念じれば元に戻りますよ。)

言われたとおりに念じたら衣装が消えて元の着ていた制服に戻った。変身を解いたことで一安心をすることができた。

「はぁー疲れたぁ。魔物ってあんなに幼体でもあんなに硬いんだなぁ。」

今ではもう腕に力がほとんど入らないほど殴り続けた。自分でも初めてのことだけどよく頑張ったと思う。

(あのー・・・言いにくいんですけど、一般的な魔法少女はちゃんと武器を使うらしいんですよ・・・)

「え?」

今言われてみれば確かにそうだ。他の魔法少女は恐らく武器の形を考えて戦うだろう。でもあの時は魔物にいっぱいいっぱいだったから武器の形は考えていられなかった。自分でも思うけど石って・・・。

「ていうかもっと時間があるときにさぁ言ってよ。そうすれば武器の形とか衣装とかもっとちゃんと考えれたって。」

(実は私、一般の人を魔法少女にするの初めてなんです。だから色々と焦ってしまって・・・。)

この埃は会社員みたいなことをしているのか。埃も大変だ。

「うーんまぁでも魔物を退治できたんだからいいんじゃない?初めてなら焦っちゃうでしょ。実際私も結構焦ってたし。ていうか私正直魔法少女になりたくなかったんだけど、なったからにはちゃんと責任もってサポートしてね。」

(はい!)

ポケットにしまってあった石をその辺に捨てて校舎に戻る。登校したときはそんなにきつくなかったのに、疲れからか二階への階段がとてもきつく感じる。無事階段を登りきり教室の戸を開ける。

「大丈夫か?」

「いえ、全然。大丈夫です。」

「あづーみちょっと長くな~い?」

「援田、あんまりそういうことは言うもんじゃないぞ。」

「は~い。」

魔物を倒した後に先生の話をまだ聞かないといけないなんて、こっちは疲れているんだから勘弁してほしい。・・・こっちの都合だけど。

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