陰陽師蘆屋道満の子孫の僕、陰陽師の才能もないモブだけど、 安倍晴明の子孫(イケメン)から究極の美女を奪ってしまう
南北足利
第1話 現代編
新緑薫る五月、大学生活にも、一人暮らしにも慣れてきた頃。
突然、3限目が休講となったので、学食で日替定食を食べたあと、
友人たちと別れ、家に帰ることにした。
東門に向かって歩いていくと、向こうから来る女にくぎ付けになった。
ズガガガガガガガガガガガガガガガ~ン!
僕に雷が落ちた。
フォーリン・ラブ・サンダーってやつ。
その人は光り輝いていた!
背は女子としては少し高め、手と足が長くてスタイル抜群、
姿勢が良く、歩き方が優雅だった。
少し茶色かかった黒く輝く、美しく長い髪!
白磁のような滑らかな肌!
煌めいている緑っぽい黒い瞳!
上品な服がとても似合っていて、怖いくらい美しい!
突然、究極の、理想の人に出会ってしまい、動けなくなった僕。
すれ違う時、彼女は僕に少し微笑んで、目礼してくれた!
ズガガガガガガガガガガガガガガガ~ン!
とどめとばかりに、雷が落ちた。
少し微笑んだだけで、凄まじく可愛くなった!
気が付くと、僕は法学部なのに、文学部で国文学の授業を受けていた。
といっても、遠くから彼女の後姿を見つめているだけだけど。
次の日本文学史の授業も学生が数十人いたので、
無関係な人がいても問題は無く、僕はまた彼女をずっと見つめていた。
次の日、僕は朝早く、文学部の建物の近くである人を探していた。
来た!
麗しの彼女・・・ではなく、彼女の友人らしい川岡理沙。
理沙は、高1の時、同じクラスで気安く話をした間柄。
もっとも、高2、高3と別のクラスになって、話すことは無くなって、
同じ大学だと知ったのも昨日だったんだけれど。
「おはよう、理沙!」
「あっ、久しぶり!芦屋もこの大学なの?」
「そう、法学部なんだ。ちょっと、理沙に頼みがあるんだけど・・・」
「ふ~ん、昼休みでもいいかな?ラインで繋がろうか?」
「ありがとう!」
お昼休み、大学の近くのイタリアンレストランで、
理沙はランチセットを平らげ、デザートのプリンをご機嫌で食べていた。
「で、芦屋のお願いってなに?」
ずっとさりげない理由を考えていたのだが・・・
「あの・・・理沙の友達の・・・」
それだけでピーンと来たらしく、理沙はスマホを操作して、
その画面を僕に見せた。あの、彼女が写っていた。
「ああ、この子?芦屋も好きになっちゃった?」
「うん」
「正直だね。この子の名前は、花山院美月、文学部1年生よ。
旧貴族のお嬢様で、本当にいい子よ。」
「旧貴族!」
「そう。上品で、優しくって、本物のお嬢様。
カレシがいるか知らないけど、入学してからもう何人も告白されているわ。」
「当然だよね・・・」
「で、どうするの?芦屋も告白するの?」
「いやいやいやいや!一目惚れで告白ってキモイでしょ?
まず、お友達になりたいなって」
「アタシに期待しないで」
理沙にピシャリと拒否されてしまった。
「そりゃ、そうだよね。ごめん・・・」
しゅんとしてしまった僕に、理沙は苦笑いした。
「早とちりしないで。美月とは同じサークルなの。芦屋も入ったらどう?」
「入る!」
「即決かよ!せめて、どんな部か聞けよ!」
『センターサークル』は、毎週水曜にテニスをして、
月1回、飲み会ほかイベントするお気楽サークル。
あわわ!女の子を狙うチャラ男の巣窟だ!
次の水曜日、僕は真新しいラケットを持って、『センターサークル』に参加した。
テニスコート4面を借りていて、40人ほど参加していた。
僕は端っこのコートにいて、ここは1回生の初心者ばかりだった。
お目当ての美月は・・・反対側の上級者グループにいた。
注目のその格好は、太ももが眩しいスコート・・・ではなく、
上下ジャージという地味な格好だったが、そのスタイルの良さは際立っていた。
そして、多くの男どもが美月に群がっていた。あわわ!
「あれでも減ったのよ。何人もフラれて辞めたからね」
「あれで減ったの!」
「そうよ。美月!」
理沙が声をかけると、美月は男たちにごめんねって謝ってから
こっちに来てくれた。
「今日からこのサークルに入った芦屋満範、アタシの高校の友達」
「そうなんだ。私は花山院美月、文学部です。よろしくね」
美月が僕にほほ笑んでくれた!
初対面の、友達の友達という関係だから、愛想笑いだろうけど、
凄まじく可愛かった!怖いくらい!
あと、僕に向けた微笑みということで凄まじく感激した!
「あっ、蘆屋満範、法学部です。よろしく」
挙動不審にならないよう、必死で顔と体を制御した。
「芦屋も初心者なの。だから、少しだけ教えてあげてよ。ついでに、アタシも」
「美月は上手なの?」
「滅茶苦茶上手よ!全国大会にも行ったのよね?」
「そうだけれど、私より上手な人はたくさんいるわ」
そう謙遜しつつ、美月は僕にラケットの握り方や振り方を教えてくれ、
僕と理沙に球出しをしてくれた。
とても丁寧で、最高!って思っていたんだけど、
すぐに元の上級者チームに呼ばれてしまい、ごめんねって謝ってから戻っていった。
「どうだった?話してみて」
「最高だった。ありがとう、紹介してくれて」
「どういたしまして。でも、これ以上手伝わないから。
まあ、アンタじゃあ、生まれた星が違うから無理だろうけど」
「・・・無理だろうけど・・・ちょっと、諦めるのも無理かな」
「ふ~ん。まあ、頑張って」
サークルが終わると、美月と理沙は他の女子、男子と仲良く去っていった。
僕は呼ばれもしなかった。残念!
この4月から、テニスが4回、新歓コンパ、ハイキング、カラオケが実施され、もう仲がいいメンバーは固まっていたんだ。
まず僕は、美月と仲良くなろうと、彼女に相応しいスペックになろうと
決意した。
だから、大学の勉強を頑張り、お金が必要だからアルバイトを頑張り、
テニスも頑張った。
高校では陸上部だったが、引退後怠けていたので、体を鍛えなおし、
さらに土曜にはテニス教室に通った。
週1、サークルで会うんだけど、もっともっと、美月に会いたくて、
我慢できなくて、全く関係のない文学部棟の周りをグルグル回ってしまい、
彼女がその角を飛び出して来てくれないか、なんて期待していた。
自分でもキモくて、週に1回しか出来ないけれど。
その甲斐あって、1度、美月と文学部近くで出会った。
「こんにちは、芦屋くん!」
って笑顔で軽く手を振ってくれただけだけど。
でも、それだけでも超幸せで、頭の中に幸せ汁がダバダバ出ていた。
理沙は、美月と凄く仲がいいようで、大学内ではほぼ一緒にいる。
だけど、宣言どおり、僕に、何にも便宜を図ってくれなかった。
だけど、だけど、『センターサークル』では、初心者チームに理沙がいるお蔭で、
美月が僕の傍に来てくれたので、感謝感激だ。
夏休みになると、『センターサークル』では週1度のテニスはお休みで、
代わりにイベントが企画されている。
まずバーベキューパーティー、次にレジャープール、
最後に2泊3日のテニス合宿の予定だ。
美月と、海や山、プールに行ける!(グループだけど)
この夏にもっと仲良くなりたい!
前期の最後のテニスの日。
「芦屋くん、前へのダッシュが凄く速くなったね!」
「ありがとう!」
美月に褒められ、僕はガッツポーズして下がっていった。
嬉しくって、嬉しくって、理沙に小声で話しかけた。
「美月が褒めてくれた!それも、僕が褒めて欲しいところを!
ちゃんと見てくれているんだ!前回も、その前もだよ!これって・・・」
「落ち着きなよ。あの子はそういう所によく気が付くんだって。
だから、みんな誤解して、告白して、フラれているんだから!」
!!!
「・・・舞い上がっていたわ。ちょっと落ち着いてみるよ」
「うん。せっかくテニスが上手くなってきた芦屋に辞めて欲しくないからね」
冷静になってみれば、美月と話すのは、理沙が一緒の時だけ。
2か月経っても進展しない仲に焦ってたみたい。
なのに、告白しようかなんて・・・怖すぎる!
バーベキューパーティーは少し山奥の、山上に有名な神社がある渓流の傍で行われる。なぜ、この日かというと、午後9時ごろ、皆既月食があるからなんだ。
僕は、大量の肉や飲み物を積んだ祐介の軽自動車に乗っていた。
そして、現場に着くと、先輩の指示の元、他の人たちと一緒に準備を始める。
準備が終わると、渓流で水遊びをしたら水が冷たくて気持ちよかったんだけど、
美月はまだ来てないから少し寂しかった。
日が暮れて、とっぷりと暗くなった頃、場違いな高級スポーツカーが現れた!
その車から降りたのは、美月と背の高いイケメン!
嘘だろ・・・
「あいつ、誰?」
「はあ?お前、知らないの?
安倍博晴、経済学部の3回生、金持ちの御曹司で安倍晴明の子孫、
読者モデルになったこともあるイケメンで、成績優秀、
テニスもインターハイ・ベスト8。
女の子に超優しくて、男にはほどほどに優しい、このサークルの王子さま。
ホントに知らないのか?」
「僕が知っているのは、部長と美月と初心者チームの1回生だけ」
「それ、自慢じゃないから!」
祐介に呆れられてしまった。
安倍博晴は背が180センチくらい、細マッチョで、
焼けた肌に、白い歯が光るイケメン。
しかも、安倍晴明の子孫って、美月も貴族の家系だから、
生まれた星まで一緒ってことか。
完敗だ。何一つ、勝ってない。
美月は、僕に一瞥もくれず、博晴と一緒に上級者チームの方へ向かっていった。
無念・・・
「諦めろ。普通の俺たちとは生まれた星が違うんだ」
「それ、理沙にも言われたわ」
僕は悔しさを晴らすため、肉を食いまくってやった。
チラリと美月を見てみれば、これまでは女子に囲まれていたのに、
今日はずっと博晴の隣にいて、それどころか、にこやかに世話を焼いていた。
羨ましい!
僕は羨ましさを隠すため、肉を食って、食って、食いまくってやった。
また、チラリと見てみれば、美月が背伸びして博晴の肩に手をかけて、
彼の耳元でなにか囁いていた。
嫉ましい!
さらに、博晴が手を伸ばして、美月の頭をクシャクシャってすると、
美月はもうって怒りながらも、本当に幸せそうだった。
悔しい!
だけど、美月の色んな表情を見れたのは嬉しい。
でも、羨ましい!嫉ましい!悔しい!
次の更新予定
2026年1月12日 20:05
陰陽師蘆屋道満の子孫の僕、陰陽師の才能もないモブだけど、 安倍晴明の子孫(イケメン)から究極の美女を奪ってしまう 南北足利 @nanbokuashi
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