ケーキより甘い

きのこ

第1話

この世には「ケーキ」と「フォーク」とその他の人間が存在する。

「ケーキ」と呼ばれる種類の人間は「フォーク」にとって極上のご馳走である。

「フォーク」の人間は、味覚がなく、「ケーキ」の人間にのみ甘味を感じる。

「ケーキ」の人間は自身が「フォーク」に見つかるまでは自身が「ケーキ」であることに気づかないが、気付かずに一生を終えるケースは極めて稀である。

「フォーク」は「ケーキ」を探すからだ。彼らは味覚がないことで「ケーキ」に対する執着があり世間からは「予備殺人者」として扱われている。


***


黒岡くろおか 知刃矢ちはやは晴れてこの春から大学1年生になった。知らない場所、みたことのないもの。18歳までを田舎の山奥で暮らしていたこともあり、新しい生活は彼にとってわくわくするものばかりだった。


「あの、そこの人…1年生ですか?」


急に声をかけられて振り向くと茶髪の気の弱そうな男子が1人立っていた。


「そうだけど…。」


「あ、急に話しかけてすみません!ぼ…オレも1年生だから!良かったら仲良くしたいなと思って。あ!えっと…赤樫あかがし 伊都いとっていいます!」


金髪に染めピアスまで開けているくせに敬語混じりオドオドしたの話し方からして大学デビューがバレバレだが、いい子そうだから仲良くしておこうと知刃矢は思った。


「そーなの!俺は黒岡 知刃矢。…じゃあこの後大学周り探索しようと思ってたけど一緒に行かない?」


「…!もちろん…です!」




その後2人は大学から家まで寄り道をしながら歩いた。伊都は話してみると意外と面白いやつで、知刃矢と趣味が合い、話が弾んだ。


「え!伊都もこのバンド好きなの!?」

「中学生の頃から聞いてます!」

「古参じゃん!」

「そうかもです、結成して1年頃のこの曲が良くって…」

「この曲俺も好き!…ていうか敬語やめない?」

「そうですね…あ!そうだね!」

「やめれてない笑笑」


知刃矢と伊都はすっかり打ち解けて仲良くなっていた。


ふっ、とそこにどこからか甘い匂いが漂ってきた。


「伊都、なんか甘い匂いしない?」

「多分ケーキだよ!ここらへんに、美味しいケーキ屋さんがあって…よかったら行かない…?」

「行きたい!」


甘い匂いに誘われて2人はそのケーキ屋へと足を運んだ。


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