幕間・零ーービゴトラス島総覧
※本稿は、ビゴトラス島において学院生・外来者に共有される
「島構造基礎認識」を整理したものである。
百年祭・非常時・戦闘行動に備え、最低限の地理と機能を記す。
▲島の全体構造
ビゴトラス島は中空の巨大な島であり、中央を環風が貫き、垂直の気脈通路を形成している。
島体は空洞を囲み、環状の塔壁のようにそびえる。陽光と雲霧は空洞上方から降り注ぎ、垂直の光柱を生み出す。島民はこれを「風の呼吸井」と呼ぶ。
これは風神が遺した聖域であり、祭典・交通・信仰のすべてがここを中心に展開される。
島頂(標高約500–600m)
¤ 古代学院
風神が墜落した聖域に建てられた研究と儀式の中心。学生はここで風脈と術法の訓練を受け、知識と権威の象徴となる。
Π 鐘楼
学院の隣に聳え立ち、島全体の風脈流速を調整する。百年祭では鐘声が島全体に響き渡り、秩序と庇護を象徴する。
❍ アシュール環
学院北方の二重環魔導工業特区。外環は環風を捕捉し、内環は工房街へ導入する。錬金・符文刻印・魔導器具の製造と修理の中心。昼は符文の光が瞬き、夜は環状の灯火が巨輪のように輝く。
⊗ 空港区
島頂東側の高台に位置し、国外飛艇とミルバの離着陸の核心。同時に貴族と外来者の門戸でもある。
浮遊プラットフォームが層を成し、巨大飛行艇と巨鳥ミルバがここで離着陸し、学院の風脈管制塔と接続する。
夜は灯火が輝き、空に懸かる光の城門のように見える。
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北側
✗ 風の聖殿
山体を掘り抜いて形成された円形空洞。学院の競技場であり祈祷の舞台でもある。環風がここで響き渡り、知識と信仰の融合を象徴する。
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中央
Ξ パミラ市集
霧帯の縁に位置する三層市場。下層気脈と人魚噴泉駅を繋ぐ中継区。
上層は交易区、中層は生活と食坊、下層は工房帯。プラットフォームが層を成し、遠望すれば浮遊階段都市のように見える。
≈ 風市街
市集から港湾へ延びる主要街路。風窓期には最も繁華を極める。
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中央下層
❩❨ 人魚噴泉駅
山腹ガラス層にある半弧形の出入口。外観は透明な貝殻のよう。
霧化ガラスと風石柱で構成され、符紋と導光標が風脈に合わせて明滅する。
空気には湿った金属と風石摩擦の淡い鉱香が漂い、下層特有の雰囲気を醸す。
❣ 人魚噴水広場
港湾区上方の円形中庭。淡色の風石で舗装され、中央には三階建てほどの高さの人魚噴水像が立つ。
尾鰭には屈折チップが埋め込まれ、水霧と光影が交錯すると橙青の微光を放つ。
泉水は広い水盤に注ぎ、主要水脈と連結し、下層水系の象徴的核心となっている。
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東側
❏ 下層港湾区
人魚噴水広場の下方に位置し、斜面を海面まで延ばす。外来者が島に入る主要入口であり、船舶と風導列車が接続する。
港には多層の浮動桟橋があり、潮汐に合わせて昇降し、夜は風晶灯で照らされる。交通の要衝であり商旅の門戸。
↗ ピグト小路
広場と港湾を繋ぐ斜面街区。狭く曲がりくねった道は風の流線のよう。
両側に工房や小店が並び、工匠や商人が行き交う。
壁は風石で築かれ、導光板が嵌め込まれ、夜には微光が瞬き、緊張感と活気に満ちる。
⇔ 港湾区外環駅
開放式円弧プラットフォーム。半空に懸かる鉄軌の末端に位置する。
銀灰の金属と空色のガラスで構成され、外弧には風紋の浮彫が飾られる。
祭典時には旗と魔導灯が吊るされ、夜霧の中で光影が交錯し、港の序曲を象徴する。
◉ 港中央広場
港湾の心臓部。円形広場中央に水晶塔が立ち、光紋が流転し花火と呼応する。
周囲には菓子屋台や舞台が環を成し、音楽・太鼓・弦楽・人声が交錯し、祝祭の熱気の核心となる。
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西側
♣ ベリード果樹群生地
断崖と雲層の上に育つ果樹群。果実は辣油に加工され、高級香辛料の源。
自然の試練場と見なされる。
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南側
ζ 裂斗山脈
島南境界の険しい山系。岩壁は裂かれたように海へ直落する。
山坡は階段状の岩台を成し、防衛に適する。
夜間は海霧が立ち昇り、島民はこれを「風の境界」と呼び、滅多に踏み入れず、試練の時のみ訪れる。
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高空層
❧ ミルバ棲息域
巨鳥「風神の使者」が高空気脈層を旋回する。
貴族はこれを乗騎とし、地位と栄誉の象徴とする。
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外海
≯ 風障帯
暴風層と海霧に囲まれ、通常の船舶は通過困難。
Ψ ルミア号航路
巨大風力客船の航線。風窓期のみ開放され、雲海航道を越えることができる。
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交通系統
❍ 風球環線(学生専用)
環風に沿って島頂と主要地標を高速連結する。資格と特権の象徴。
¤ 風導列車(民衆主要交通)
鐘楼下方から出発し、中空構造を垂直に貫通。
学院 → 聖殿 → 市集 → 港湾 → 果樹群 → 裂斗山脈の順に停車。
❐ 浮力車(街区交通)
小型車両。風力と魔力補助で滑走し、斜面や小路の短距離通勤に適する。
※注記
本島は環風と気脈によって均衡を保つ構造体であり、
いずれか一系統が失調した場合、連鎖的な崩壊を引き起こす。
特に――
中央下層から港湾区に至る風導線は、
遮断・暴走のいずれにおいても甚大な被害を生むとされる。
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