診断名がついた日から、人生が少し前向きになった

松平ちこ

第1話 落ちた記憶

※本作は、個人の体験をもとにしたノンフィクションです。

自死・希死念慮・精神疾患・発達障害などのテーマが含まれます。

性的描写の詳細

残虐描写

自死の方法描写

過度な煽情性

は、いずれもありません。

けれど心身の状態によっては、読むことが負担になる可能性があります。


登場する人物・出来事は、特定の個人や団体を誹謗中傷する意図はなく、プライバシー保護のため一部表現をぼかしています。


発達障害や精神疾患に関する記述がありますが、特定の診断や治療を勧めるものではありません。


これは「誰かを断罪する話」ではなく、「自分を理解するまでの記録」です。




◇◆◇◆◇◆◇




「貴方、子供の頃に忘れ物とか、じっと出来ないとかなかった?」


このメンタルクリニックへと通院を開始して、三年。

診療体制の変更により、初診から担当していた医師が現場を離れることになった。

新しい医師へと変更になった通院の二回目、そんなことを言われた。

それは私の人生を変えるほどの、大きな分岐点の訪れでもあった。


人生でメンタルクリニックに受診したのは、実はここが初めてではなかった。


高校卒業後、家から通える範囲の会社へと就職。

翌々年の三月、家から通いやすいメンタルクリニックを受診したのが、始まりだった。


その時には、ADHDがインターネットでも散見され始めた頃で、私もADHD傾向あるかも?なんて考えていた時だった。


ホームページを見ての口コミから、受診を決めたメンタルクリニック。

そこで診断された病名は、"適応障害"。


生育歴を話して、高校卒業後からの受診に至るまでの話をしての診断だった。


『卒業後の就職から始まり父親の自死、新しい彼氏との同棲、よくある環境の変化によるものだね』


そう当時の医師に言われた。


父子家庭で育ち高校卒業後、家を出て働き始めて十一月。

父が自死をし、通夜に葬儀と慌ただしく過ぎ去りった。

数ヶ月後の翌年のある日、社内恋愛で付き合うことになった。

長期休暇を利用して、父方の祖父母の家へ赴き紹介を済ませ、秋から新居へと居を移したのだった。


同棲生活に大きなトラブルもない中、迎えた年末年始。

会社のクレーム対応で社員が駆り出された。

その頃、身内トラブルも重なりストレスは多かったのだろう。

クレームのために残業していた彼が、自宅にて倒れた私を発見し、救急車を呼んだ。


『退院しても大丈夫ってなったら退院していいよ』


と、当時の担当医に説明を受けた。

新居での初めての年末年始。

それならとすぐにと退院の手続きをした。


年始の仕事始めから数日後。

今まではそこまで気にしていなかった職場での受動喫煙によって、昼食を食べられなくなり体調を崩した。

搬送先の病院へと再受診をして、勧められたのがメンタルクリニック。


当時の"適応障害"の診断に、ADHDではなかったのか、メンタルが弱いのか、とずっと胸にわだかまりを抱え、その後、年月を重ねた。


メンタルクリニックに通って、やめて。

また通って、やめてを繰り返し。


三件目のメンタルクリニック、四人目の担当医にして初めて、高校卒業後の環境ではなく、生育歴に着目した医師に出会ったのだった。

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