初期禍
小狸
掌編
ああ、また続かなかった。
今回の一件に決着が付いた時、僕はそう思った。
いつも通りの流れで、SNSのアカウントを削除し、
流れ作業である。
僕のことなんて忘れてくれればいい。
覚えられているのが不名誉なくらいである。
どうせ僕の関わる記憶なんて、まともなものではないのだ。
不愉快で、不快で、迷惑千万で、嫌で、奇妙奇天烈で、おかしな言動ばかりしていた。
もう自分は、集団に属するのは向いていないのだな、と思わされた。
小学校を卒業した時も。
中学校を卒業した時も。
高校を卒業した時も。
大学を卒業した時も。
そして――今も。
同じように僕は、人間関係で大きな失敗をし、それを初期化してきた。
故に僕に、長続きした友達はいない。きっと誰も、僕のことなど覚えていないだろう。変な奴が、変な真似をしていた。それだけのことなのである。
大きな失敗、と述べたけれど、それは決定的な何かがあった、というわけでは、実はない。
ただ、進学や就職をして、以前より駄目になった自分を見られたくないから――縁を切る、というのは確実にあるように思う。
小中学校の頃はまだ何とかやっていけていたけれど、高校から、僕の人生は右肩下がりである。勉強についていけなくなり、次第に学校からも足を遠のき、大学も地方の名前も知らないところに合格した。就職先も中々内定が取れず、何とか学科の教授のコネでもって卒業ギリギリのところで決まった。
次第に駄目になっている。
そんな僕を見て、周りの人々はきっと幻滅するだろう。
幻滅されるのだけは嫌だ。
期待を裏切ることだけは、嫌だ。
だから、初めから期待すらされないように、人間関係ごとなかったことにしてきた。
お
今回も同じである。
僕が黙っていれば、僕が泣き寝入りしていれば、僕が何も言わなければ、僕が大人しくしていれば、何も起こらなかったはずの出来事だった。面倒ごとは起こらなかった。誰もそんなこと言わないけれど、きっと皆、そう思っていたはずである。
別に、構わない。
人との関係から逃げてきた僕に、当たり前の幸せなんて訪れるはずがない。
きっと一生、僕はこのままなのだろう。
このまま一人で、生きていくのだろう。
そしてそれで良い。
それはつまり、もう人に迷惑を掛けずに済む、ということなのだから。
(「
初期禍 小狸 @segen_gen
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