捨てられ貴族の公園造り~婚約者もメイドも寝取られ危険な荒野に追放された僕は、前世を閉じ込めた箱を開けて未来型都市公園で暮らします~ざまぁもあるし地域猫もいるよ!
風祭 憲悟
第一章 荒野に捨てられた元貴族は公園を造る。
第1話 寝取られからの荒野追放
「ハルク、お前をウィリパテル辺境伯領から追放する」
僕に向かってそう言い張ったのは兄上、
ウィリパテル辺境伯次期当主つまり長男である、
クライヴ=ウィリアヒル(18)だ、父上母上も続く。
「お前ももう十五歳、ハルク、独立の時だ」
「そうよ、あなたは何の取り柄もないもの、剣技も、魔法も、商才も」
「つまり、役立たずということですか」「そうだ弟よ、もう養う義務は無いそうだ!!」
あまりの事態に僕は周囲を見回す。
「先日からこっちへ住み始めた、僕の婚約者、スージーは!」
「ああ、彼女なら……おいでスージー」「はい、愛しのクライヴさま」
綺麗な純白のドレス姿、
それは僕との結婚式で着るはずだった……?!
「スージー!」
「ごめんねハルク、離れで暮らしてたって嘘、
本当は毎晩、クライヴさまのベッドで可愛がって貰っていたの」
愛おしそうに兄上の胸元にもたれかかるスージー。
「そんな、そんな、僕のこと、あんなに好きだって」
「もう過去のことよ、忘れて、私は未来がある方を選んだの」
「だそうだ、そうそう、お前のお付きメイド、側室にとか言ってたヤツも貰ったぞ、おいケティ!」
メイド服の可憐な女性、
僕のお気に入りでずっと世話してくれていたケティまでも、
顔を紅らめながら兄上の元へ、そして背伸びをしてチュッ、と……
「はい新しいご主人様、なんなりとご奉仕させていただきます」
「という訳だ弟よ!」「そんなケティ、嘘だ、嘘だって言ってよ!」
「ハルクさん、私というメイドの所有権はクライヴ様に移りました、身も、心も」
まさかの裏切り、寝取られ……
うなだれる僕に兄が追い打ちの言葉をぶつける。
「お前はもう用済みだ、だから『禁忌の荒野』へ捨てる事にした」
「そんな、あそこって近づく事すら出来ない危険な魔物だらけの!」
「安心しろ、お前のために、今回のために特大のドラゴンを借りた、特別になっ!」
窓の外に映る巨大な影、
恐ろしいドラゴンが羽根を休めていた!
あれなら僕を捨ててくるだけなら、余裕だろう。
「父上、母上、僕は次男です、兄に何かあったら」
「その時は甥っ子のイアンだな、お前より遥かに優秀だ」
「あとはリリアの夫ね」「姉上のですか」「そうそう、私、ハルクの本当の母じゃないから」「えっ」
こんな時に、
いやこんな時だからこその告白か、
どおりで今日まで当たりが強かったはずだ。
「ハルク、知っての通りお前の曾祖母、ハルカが死んだ」
「はい父上」「お前の唯一の味方だ、生きている限りはこの辺境伯領から出すなと言っていた」
「だからって」「なぜ死ぬまで出せなかったかは追放されるお前に言っても仕方があるまい、さあ連れて行け」
僕の背後から、
領兵が何人もやってきて拘束する!!
「ちょっと待って、スージー! ケティ!!」
引きずられる僕を見ず、
兄上に夢中なふたり……
すると兄上はふたりに問う。
「どうする、今だけ、今回だけ選ばそう、
あのバカな弟について行きたければ、行っても良いぞ」
「まさか、あんなの」「私の所有権は、もうクライヴ様です」
その言葉に、
僕は涙で前が見えなくなり、
抵抗する力を失った……あぁ、もう終わりだ。
「さっさと捨ててこい!」
「「「「ははっっっっ」」」」
こうして僕は、
何も持たされないまま、
屋敷から引っ張り出され、ドラゴンの前に置かれたのだった。
(もぅ、いっそこのまま食い殺された方が……)
そしてドラゴンは僕を咥え、
空高く、舞い上がってしまったのだった……
みるみるうちに辺境伯邸が、そして高い壁に囲まれた城塞都市が小さくなっていく。
(これ、完全に……処刑だよな)
このドラゴンが気まぐれを起こして、
いや誰か操縦しているんだろうか?
そこまで見る余裕はなかったが、何にしろ平和な場所へ逃がしてはくれないか。
(荒野の先には、未知の亜人の集落があるという噂も)
せめて、そこへやさしく置いてくれれば、
少しは長く生きながらえるかも知れない、
そう思っていたものの、あまりに上空すぎて寒くなってきた。
(やばい、ここで凍死という可能性も)
そうして震えながら空中を進むと、
やがてドラゴンが下がっていき見えたのは、
森に囲まれた大きな荒野、大昔に開拓しようとして失敗した『忌み地』らしい。
「うっわ、あきらかに危険そうな魔物が、うようよいる!!」
あんな所に放置されたら……
と思ったら、その荒野の中心あたりに到着し、
僕は一気に放たれた! 雲の隙間から下へ堕ちる!!
「ああっ、あうっ、うああああああ!!!」
これ、確実に落下死させる高さだ!
ドラゴンはさっさと来た方向へ戻って行く、
もうあきらかに死体をあの魔物達に処理させるつもりだ!!
(うぅ、これはもう……祈ろう)
両手を胸で合わせようとした時、
僕はなぜか、挟み込むようにして何かを持っていた!
「これは……箱?!」
両手ですっぽり収まる正立方体の箱、
なぜだろう、箱自身が『ひらけ』って訴えかけている気がする、
どこから湧いて出たのかはわからないが、これはもう、開けるしか……ない!!」
「えええええええい!!!」
地面に落ちようとしたその瞬間!!
パカッッッ!!!
小箱が開いたと同時に、
眩い光に包まれたっ!!
「こ、こっ、これはああああ!!!」
その瞬間、
僕は……前世を、思い出した。
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