第5話 初めての町外れダンジョン探索と変換スキルの覚醒


朝の光がカルナスの町を包む。

川谷ゆうじは、昨夜のライバル遭遇とサフィアとの冒険を思い返しながら、

今日の依頼に胸を躍らせていた。


「今日の依頼は、町外れの小規模ダンジョンか……」

掲示板に貼られた依頼書には、モンスターの討伐と宝探しが明記されていた。

報酬は200G。Fランクのゆうじにとっては大きな額だ。


ギルドでサフィアと合流する。

「今日も一緒に行くわね、ゆうじ」

彼女の笑顔に、ゆうじは自然と頷いた。


「はい……よろしくお願いします」

二人は森を抜け、町外れにある古びたダンジョンの入り口に到着する。

石造りの扉は苔むしており、何世代も前の冒険者が使った跡が見える。


「ここが……入口か」

息を整え、ゆうじは転移スキルを心の中で確認する。

「行った場所には瞬間移動……上手く使えば、戦闘でも役立つはず」


ダンジョンの中は薄暗く、湿った空気が漂う。壁には古代文字のような刻印が

施されている。サフィアは呪文を唱え、周囲を明るく照らす。


「慎重に進もう」

ゆうじは小石や倒木を使い、モンスターを避けながら進む。

突然、ゴブリンの群れが現れた。Fランク冒険者にとっては手ごわい数だ。


「まずは……転移で位置取り!」

ゆうじは瞬間移動を駆使し、敵の攻撃をかわす。サフィアが魔法で支援することで、

二人の連携は見事に機能した。


戦闘後、奥の通路に宝箱を発見する。

鍵はかかっているが、ゴールドが200G入っていた。

ゆうじは胸の高鳴りを感じながら、変換スキルを使う決意を固める。


「これで……一気に強くなれるかも」

手持ちのゴールドをステータスに変換する。数値が頭の中で跳ね上がり、

筋力、体力、素早さ、運動能力が大幅に上昇した。


「うわ……こんなに上がるのか!」

運も味方し、ゆうじは自分の成長を実感する。

Fランクとは思えない体格と動きになり、次の戦闘に自信が湧いてくる。


奥の広間に進むと、そこには中型のゴブリンが待ち構えていた。

剣を振る動作は力強く、Fランクのゆうじにとっては脅威だ。


「よし……転移と変換の力を使う!」

瞬間移動で敵の攻撃をかわし、反撃のチャンスを狙う。

変換で上げた筋力を活かし、石の破片を投げてゴブリンの注意を逸らす。


ゴブリンが動揺した瞬間、サフィアが回復魔法で支援する。

「これなら……行ける!」

息を合わせ、敵を追い詰めることに成功した。


戦闘後、ゆうじは床に座り込みながら息を整える。

「Fランクでも、戦い方次第で勝てる……」

胸の中に、これまでになかった確かな手応えがあった。


町に戻ると、ギルドでは報告を受けた冒険者たちが興味深そうに集まる。

「Fランクであのダンジョンをクリアしたのか?」

驚きの声があがり、ゆうじは少し照れながらも誇らしい気持ちになる。


サフィアも微笑む。

「今日の活躍、素晴らしかったわ。転移と変換、うまく使えていた」

その言葉に、ゆうじの心は一層強くなる。


だが、ギルドの片隅には、静かに見つめる青年がいた。

リオ・ヴェルンだ。

彼の目には、挑戦心と興味が混じった光が宿っている。


「……あの少年、少し面白くなってきた」

リオは小さく呟き、剣を背に再び歩き出す。

ゆうじが成長すればするほど、二人の間には戦いの火花が散ることになる。


夜、ギルドの宿で一人、ゆうじは今日の出来事を反芻する。

「転移も、変換も、ここまで役立つとは……」

手に入れた経験値とステータスの上昇が、冒険者としての自信を深めていた。


国外追放から始まった川谷ゆうじの挑戦は、Fランクでも確実に前進している。

仲間との連携、ライバルの存在、そしてスキルの成長――

異世界アストラリオでの冒険は、まだまだ続くのだった。

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