第4話 ギルド仲間との出会いと初めてのライバル遭遇


カルナスの町は朝から活気に満ちていた。

川谷ゆうじはギルドに向かう途中、昨夜の迷宮探索で得た報酬やステー

タス上昇の余韻を噛みしめていた。


「Fランクでも、少しずつ強くなれる……」

独り言をつぶやきながら、ゆうじは石畳の道を歩く。

今日の目的は、ギルド仲間との顔合わせと、次の依頼の相談だ。


ギルドの扉を開けると、中は昨日以上に騒がしかった。

冒険者たちが依頼情報を交換し、装備を整え、笑い声を上げている。

その中に、ゆうじと同じくらいの年頃の少女が目に入った。


「あなたが、川谷さん?」

声の主は、サフィア・ルーエル。Cランク冒険者で、落ち着いた雰囲気と

知的な笑顔が印象的だった。


「はい……初めまして」

ゆうじは少し緊張しながらも頭を下げる。


「昨日の迷宮探索、拝見しました。Fランクとは思えない冷静さ」

サフィアは感心したように頷く。

「今度、一緒に依頼を回ることになるかもしれません。よろしく」


ゆうじの胸に小さな期待が芽生えた。

仲間ができる――それだけで、心強さが増すものだ。


受付で新しい依頼の情報を確認すると、町外れの森に小型モンスターが

出没しているという内容だった。

サフィアもその依頼に興味を示していた。


「よし……じゃあ、一緒に行こう」

二人は森への道を歩きながら、互いのスキルや戦い方について話す。

ゆうじは転移と変換のスキルを説明し、サフィアは回復魔法や補助魔法

の能力を紹介した。


「なるほど……戦闘力はないけど、戦略で補えるのね」

サフィアは笑い、ゆうじは少し照れながら頷いた。


森に到着すると、小型モンスターが数匹現れた。

戦闘スキルはないが、転移で位置取りを変えながら戦うゆうじを、

サフィアは魔法で支援する。


「うまく連携できた……!」

戦闘後、二人は息を整えながら笑った。

Fランクのゆうじにとって、仲間との協力は新鮮で、嬉しい体験だった。


だが、その背後に気配を感じる。振り返ると、鋭い視線を放つ青年が立っ

ていた。18歳ほどの少年で、剣を背負い、Bランクの風格を漂わせている。


「ふん……お前、昨日の迷宮探索の少年か?」

彼が名乗ったのは、リオ・ヴェルン。

「俺はBランクの冒険者だ。お前のスキルは面白いが、戦闘では使えん」


ゆうじは心の中で緊張する。初めてのライバル登場だ。

「えっと……よろしくお願いします」

とりあえず挨拶を返すが、内心では負けたくない気持ちでいっぱいだった。


リオは挑発的に笑う。

「小手先の戦略でSランクに上がれると思うなよ」

その声には自信と威圧感があり、Fランクのゆうじには圧力に感じられた。


森の奥で、再び小型モンスターが出現する。

リオは剣を抜き、軽やかに戦闘を開始。彼の動きは的確で無駄がない。

ゆうじは転移を駆使して敵を翻弄する。


戦いの後、リオはゆうじに向かって言った。

「まだFランクだが……お前、ちょっと目が離せないな」

少し認められた気がしたが、同時にライバル心も芽生える。


森から戻る途中、サフィアが微笑む。

「リオさん……強いけど、悪い人ではなさそう」

ゆうじは頷き、胸の奥で決意を固めた。


「俺も……もっと強くなる。Fランクでも、Sランク目指す」

サフィアと共に歩く足取りは、昨日よりも力強く、確かだった。


夜、ギルドの宿で一人、ゆうじは今日の出来事を思い返す。

仲間との協力、初めてのライバル、そして自分のスキルの可能性。

Fランクの冒険者にしては、充実した一日だった。


しかし、異世界アストラリオにはまだ、ゆうじの知らない危険と挑戦が

待っている。


国外追放から始まった冒険者生活は、仲間との出会いとライバルとの遭遇

によって、少しずつ色を帯び始めたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る