赤ちゃんから努力したら、いつの間にか最強になっていました 〜表は完璧令嬢、裏は最強冒険者〜

こんぺいとう

第1話 目が覚めたら、赤ちゃんでした

――目が覚めた瞬間、理解した。


(……あ、これ、詰んだやつだ)


 体が動かない。声も出ない。というか、視界がやたら低いし、全体的にぼやけている。起き上がろうとしてみたけど、首がぐらん、と情けなく揺れるだけだった。


(ちょ、待って。首すわってないんだけど)


 状況を整理しよう。

 さっきまで私は、ごく普通の十七歳の女子高生だった。庶民。テスト前にコンビニスイーツで現実逃避するタイプの。


 それが今――


(なんで天蓋付きベッド? これ絶対高いやつじゃん)


 視界の端に見える、重厚なカーテン。装飾過多な天井。ふわふわすぎる布団。

 恐る恐る自分の手を見る。


(……小っさ)


 ぷにぷにの手。どう見ても赤ちゃんのそれだった。


 そのとき、静かにドアが開いた。

 数人の大人が部屋に入ってきて、私の顔を見るなり、ほっとしたように息を吐く。


「お嬢様……ご無事で……!」


 胸に手を当て、声を震わせる女性。どうやら侍女らしい。


(お嬢様!? 誰が!? え、私!?)


 会話の端々から察するに、ここはかなり身分の高い家らしい。

 しかも――公爵家。


(はい出た。難易度急上昇)


 赤ちゃんスタートで貴族社会。

 人生二周目にして、いきなりハードモードすぎる。


(……で、私は何から守られて「ご無事」だったんだろ)


 そんなことを考えていた、その瞬間だった。


 体の奥が、じんわりと温かくなる。

 血流とは違う、もっと内側。まるで呼吸をするみたいに、何かが巡っている感覚。


(……なに、これ)


 意識を向けると、それははっきりと感じ取れた。


(魔力、だ)


 しかも量が多い。制御もされていないのに、溢れそうなくらいある。


(……なるほどね)


 私は泣く代わりに、心の中で小さく笑った。


(才能アリ。環境ヨシ。時間、たっぷり)


 体は無力な赤ちゃんだけど、頭はちゃんと動く。

 努力する時間なら、いくらでもある。


(よし)


 今世は、手を抜かない。

 完璧な令嬢? 最強?

 どうせなら、両方いってやろうじゃない。


(……まずは首をすわらせるところからだけど!)




____________________________________

作者より


初作品です、!読んでいただきありがとうございます!!この小説は自分の好みを詰め込んだものです!不定期ですが、これからもよろしくお願いします!

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