義母?継母?義妹?異母妹?~あなたが使ってるその言葉、再確認しませんか~
中崎実
義母か継母か?
良くあるテンプレ小説の一つに、ドアマットヒロイン物がありますね。
ドアマットまで行かなくても、「不仲の両親から生まれた子供が、母の死後、父の後妻と後妻の連れてきた子供に虐待される」というストーリーは山ほど生成されています。
そこで問題になるのが、「父の後妻」と「後妻の連れてきた子供」の呼び方です。
けっこう多いのが「父の後妻」を「義母」、「後妻の連れてきた子供」を「義妹」と表記する小説ですが……ちょっとその言葉、使うのを待ってください。
言葉の定義から確認してみましょう。
ぎぼ【義母】
継母、養母、および配偶者の母。
日本語では3つの意味を含めることができます(精選版日本国語大辞典、広辞苑ともに3つの意味を含めるとしています)。この語を使うと、義母と呼ばれた女性が一体どういう立ち位置なのか、ちょっと曖昧になるという事ですね。
では、「継母」「養母」の意味を調べてみましょう。
ままはは【継母】 ※「けいぼ」とも読みます
(広辞苑)親子の血のつながりのない母。父の後妻。
(精選日国)血のつながっていない母。父の後添いの妻。中世以降は後妻を指すことが多い
ようぼ【養母】
(広辞苑)養子縁組によって母親となった者
(精選日国)実母に代わってその子を養育する母。また、養子に行った先の母。
と、「継母」「養母」「配偶者の母」の三者はずいぶん意味が異なっています。
小説に話を戻しましょう。
テンプレ「ドアマットヒロイン」小説に登場する、主人公につらく当たる女性はどう呼べばいいでしょうか?
「父の後妻」で「前妻の子供を養育する気が無い者」であれば、「継母」の条件は満たしますが「養母」にはなっておりません。
そして前妻の子供(ヒロイン)の配偶者の母でもありません。たいていのヒロインは未婚ですからね。
意味に最も即した語を選ぶのであれば、『父と結婚した女性で、主人公とは血のつながりが無く、虐げる気満々の者』については『継母』という表記が適切、という事になるでしょう。
もっとも、「だから正確な意味の語だけ使え」という事ではありません。
この、3つの意味を持つ語を迂闊に使ったがゆえに生じる思い込み、勘違い、すれ違いなども立派にネタにできますからね。
うまいこと使い分けるといいと思います。
意味の違いも分からず適当に使ってる小説が多すぎて、個人的には途中で読む気が萎えることが多いってだけですから。
とはいえ、「三つの意味があるので勘違いをネタにしよう」というのは、お話の舞台が日本語をそのまま使っていることにした場合の話です。
他言語ではどうでしょうか。
というわけで次に、英訳を見てみましょう。
ぎぼ【義母】
(夫または妻の母)mother-in-law
(まま母)step mother
(養母)
1. (他人の子を育てる母)foster mother
2. (法的に養子関係にある母)adoptive mother
……はい、現代英語では明確に呼び方が違います。かつ、「養子縁組してるかどうか」で呼び方が変えられます。
というわけで、『ふんわり義母呼び』してる小説の舞台は、あくまでも日本語が通じる世界と思っていいでしょうね。
なんか中世ヨーロッパみたいな世界~!と思って書いてても、ガワ一枚を剝いだらそこはベッタベタの現代日本だった、ってことです。
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注意点ですが……
「義母」というといわゆる「姑」、配偶者の母を指す意味で用いられる事が頻繁にあります。特にリアルワールドだと義母=姑を意味することが多いので、話し言葉として使う場合は要注意です(あまり話し言葉では使わないですけどね)。
うっかり「義母が」と言おうもんなら、「あなた結婚してたんですか!?」というツッコミが返ってきますよ。
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