一週間で恋人にふられたら甘い溺愛が待っていました

またたびやま銀猫

第1話

 やっちゃった。

 春めいてきたある日の朝。私は隣で寝ている男性を見て、ため息をついた。

 昨夜、酒に酔った勢いで同僚かつ友人でもある彼とホテルに来て、そのまま関係を持ってしまった。


 私は三日前に、ふられたばかりだ。

 私をふった彼は一つ年下の後輩。十日前、モテない私に勇気をもって告白してくれた。


 気弱だが優しい彼を知っていたから、告白を受け入れた。

 告白から一週間後、初めてのデートをした。

 お互いに緊張しながら、一応は楽しく過ごせたと思う。

 これから少しずつ距離を縮めていくのだと思っていたのに、帰り際、打ち砕かれた。


「やっぱり俺は素敵なあなたにはふさわしくないと思うんです。別れてください。あなたと少しでもつきあえたこと、一生の記念になりました」

 デートの終わり、駅前で言うだけ言って彼は走って去って行った。


 そんなことってある?

 私はただ呆然と後ろ姿を見送った。

 告白が嬉しくて、彼とのメッセージのやりとりも楽しくて、きっと彼を好きになれると思っていた。


 なのに一週間でお別れだ。

 おつきあいは会社内では内緒にしていた。

 だからふられたこともほかの人に知られずに済んだのは不幸中の幸いかもしれない。


 同期の友人だけは、私の様子がおかしいことに気が付いた。

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