くろいまち
幸坂 陽向多
第1話
僕は迷い込んだ
ここは誰もいない... そしてただのネオン管の光が心強く感じ るほど
なにか薄暗く、不気味な感じがする
不気味というのは霊的な不気味と人間的な不気味があるが ここは前者のように感じる
確かに、ネオン菅があるから人間もいたのだろう
だが、いくら探し回っても人間は出てこない
僕は歩き回ってみる
人間がいるかどうか
何があるのか
この街は何なのか
そのようなことを考えている途中、僕はパタリと歩くのをやめた
なぜなら、目の前に不自然なほど神々しく、禍々しい鳥居が異様な存在 感を醸し出し、ポツリと立っていたのだから、
僕は固唾を呑み込み、吸い込まれるように入って行った
そこには側に狐の銅像二つと真ん中に本殿のようなものがあった。
ここの青空は僕の心が嫌悪感を示し、今にも逃げ出したかったぐらいだ。
なぜだか、冷たい空気が僕のことを睨んだような気がした。
睨まれたと感じた瞬間、僕は何かに操られるように歩き出してしまった。
本殿はすぐそこのはずなのに、なぜだか遠く感じる。
いや違う。
自分自身の移動スピードがとても遅い。
いつもの5分の1ぐらいの速度だろうか。
多分だが、体がこの本殿に近づくことを拒否しているのだろう。
だが、その拒否も虚しく、本殿についてしまった。
その本殿の中には輪廻転生の4文字が刻まれていた。
その本殿とても古く、生物が生まれるずっとずっと前に建てられたもののように見えた。
触れぬ神に祟りなしと言うが、僕はお賽銭をしようと心に決めていた
こんな本殿だが、ちゃんと神は祀っているのだろう。今はなんの神かもわからない存在にも頼りたいぐらい、精神的に限界がきていたのだ。
僕は巾着袋の中に入っていたお稲荷さんを苦労しながらお供えした
何故苦労したのかと言うと、とても高いのだ
確かに、成人男性なら行けるかもしれない
だが、僕は人間じゃない。どちらかというと元人間と言った方がわかりやすいのかもしれない。
詳しく言うなら、狐だ。狐年齢はわからないが、人間年齢だと、多分高校生ぐらいだ。
狐の話に戻るが、昔話では、狐がずる賢く書かれているが、
僕はその賢い部分だけをもらった狐なのだ。まあ元が人間だから当たり前だと思うが。
そういえば、いつから狐なのかは覚えていない、
それどころか、よくよく思えばここに来る前の記憶がないのだ。僕はどなんていう名前なのか、僕が志望していた大学はどこなのか。全て忘れてしまった
だが、そのようなことを考える前に
今考えるべきは、ここからどうすればいいかだ。このまま当てもなくこの薄暗い空間をひたすら歩き続けるのか?
と、途方もないことを思っていた。僕はそんなことを思いながらも、その本殿を後にしようとした。
だが、何か妙で、気持ち悪く、禍々しい気配がして恐る恐る振り向いてみる。
何もなかった。
僕は恐怖した。
本当に何もなかったのだ。
さっきまだあったはずの本殿が
それごとが切り抜かれたみたいな「何もない」だった。
真っ暗な空間
それが不自然なぐらいに、はっきり存在を主張していた
僕は逃げ出した
いまさっき来た道を走って逃げた
なのにどこか違う。
いや、全然違う、
道がくねくねしすぎている。
不自然な標識があり、止まれと僕に指示してる。
だが、僕は止まらない。
止まったらあの真っ黒に体が染められる気がしたから。
僕は無我夢中で逃げた。
途中のネオン管も結局黒になった。
僕はすごく走った。
山の中に逃げ込んだ。
山の中にある一つの祠を見つけた。
その祠を走り目にみた、
安産祈願と書いてあった。
また祠があった。
祠を走り目に見た、
健康祈願と書いてあった。
山の頂も間近と言うところにまた祠があった、
輪廻転生と書いてあった。
僕はとても怖くなった。
最後の力を振り絞り山頂に着いた。
黒は僕の背中を突いた、
僕は慌てて走った。
僕は見た、
数メートル先に何か輝かしいものを見た、
そこに向かい走った。
それは、僕の背中を突いた黒に似ていた。
だが違った、
温もりが違った、
その光は温たかかった。
僕は意を決してその光の中に入った。
その時僕は産声をあげた。
その日は僕の生誕祭になった。
周りの大人が歓喜していた。
くろいまち 幸坂 陽向多 @hitavandSaZi
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