勇者パーティーのお姉様方に拾っていただいた少年神官だけど、恩返しで自爆魔法を使うたび皆が曇っていくんですが

御手々ぽんた@辺境の錬金術師コミック発売

第1話 自爆魔法

「自爆魔法を使います! 皆様、下がって!」

「リーテ、まだ、だ。まだ私は戦えるから!」


 足手まといで自爆魔法ぐらいしか取り柄のない神官である僕、リーテを庇うように叫んだのは、女勇者にして僕たちのパーティーのリーダーであるシャルリナ様だ。


 美しい金髪をなびかせ、次々と上空から襲いかかってくる何体ものクリスタルドラゴンたちへと、その剣を振るっては切り捨てている。


「そうですにゃ、リーテ。あなたはつい先日、自爆魔法を使ったばかり。大賢者たるわらわがいくら治癒の魔法を施したとはいえ、そのダメージは抜けきっていないはずですにゃ」


 心配そうに告げながら、次々に空へと火弾を飛ばしているのは、僕より幼い見た目とは裏腹に、永い年月を魔術に費やしたハイエルフと獣人のハーフのお姉様である、ナー様。


「そうアル。リーテは大人しく下がってるよろし」


 片言でそうぶっきらぼうに告げられたのは、遥か東方出身で、女武神とまでうたわれる戦技の実力者である、闇のような漆黒の髪をしたチェン・ルオ様。


 今も空から飛来するクリスタルドラゴンを戟とよばれる武器で一突きで倒している。


 彼女たちこそが、孤児出身で足手まといがちな神官にすぎない僕を拾って、パーティーの仲間にしてくれた、大切な大切なお姉様たちだ。


 僕たちは今、勇者シャルリナ様が魔王を倒すのに鍵となるとさせる勇者装備のひとつ、勇者の冠を求めて魔の山と呼ばれるダンジョンへと挑んでいた。


 そこで遭遇した、クリスタルドラゴンの群れ。


 その一体一体はお姉様方なら倒せる相手。ただ、その数が桁違いだった。


 素人目の僕から見ても、その数によってお姉様たちが徐々に押し込まれているのがわかる。

 だからこその、一発逆転となる僕の自爆魔法の出番だ。


 簡単な回復魔法程度しか使えない足手まといの僕の、唯一の攻撃方法である自爆魔法。僕の全ての魔力とスタミナを消費して使用するそれは、その名の通り使用すれば僕は瀕死となる。


 その代わり、威力は絶大だ。


 止めどなく沸くように見えるクリスタルドラゴンたちを容易く殲滅するだろう。


「ぐっ!」

「シャルリナさまっ!」


 僕が自爆魔法を使わないでいる間に、クリスタルドラゴンの一撃がついに勇者シャルリナ様を捉えてしまう。

 反動で吹き飛ばされていくシャルリナ様。美しい金髪が土ぼこりにまみれ、その整った顔が苦悶に歪んでいるのが見える。


 大切なお姉様であるシャルリナ様のそんな姿を見て、僕はもう耐えられなかった。


「みなさま、下がって! 自爆魔法を使いますっ」


 僕は前へ前へと走り出す。

 吹き飛ばされて地面を転がっていくシャルリナ様にクリスタルドラゴンの追撃がいかないように。


 そして今度はお姉様方からの僕への制止の言葉はなかった。逆に、僕の言葉をきいてルオ様がナー様を抱えるようにして、飛ばされたシャルリナ様のところまで下がってくれるのが視界のすみに映る。


 ──さすがルオ様。やっぱり頼りになるな。これで心おきなく


「自爆魔法、『ダ・ドレ』」


 僕は自爆魔法を唱える。

 次の瞬間、世界が白く反転した。

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