第4話 拾ってしまったもの

駅を出て、少し歩いたところにある自販機の前で、

僕は足を止めた。


ポケットに指を入れたとき、

紙の感触が触れた。


折り目だらけの紙。

インクは滲み、

歌詞になりきれなかった言葉の断片。


見覚えが、あった。


完成させる気は、なかった。

完成させたら、

終わってしまう気がしていた。


——まだ途中だ。

——今じゃない。


紙を折りたたんで、

ポケットに戻す。


拾った、というより、

戻ってきてしまった、

そんな感じがした。

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