第2話「玄米チャーハンの乱」
スタジオ
鉄板が鳴る音。
油は少ない。だが気配は濃い。
5分経っても、誰も喋らない。
東強一郎(調理)
中華鍋に玄米。
パラパラにはならない。
なる気もない。
東、フライパンを振らない。
押す。
ヘラで、押し固める。
玄米が軋む音。
関根勤、無言で頷く。
東(独白)
「白に寄せるから、道を失う」
卵は後入れ。
しかも混ぜない。
黄身が割れ、
玄米に吸われて消える。
遥(対戦側・別調理台)
白米。
火力強。
テンポ良し。
香味野菜、計量済み。
理論は完璧。
だが一瞬、
東の鍋を見る。
嫌な予感。
東(完成)
皿に盛られた
黒く、重いチャーハン。
山のよう。
湯気は出ない。
東、箸を持たない。
代わりに、木べら。
一口、噛む。
時間をかける。
東(名台詞)
「かような味ら、
しかと味わえ!」
スタジオ、沈黙。
関根勤(中核コメント)
一拍。
「…これは、
“食事”じゃなくて
試練ですね」
誰も笑わない。
でも、誰も否定できない。
遥(コメント)
「消化には、時間がかかります。
でも——
今日、空腹にはなりません」
敗北でも勝利でもない。
異変
東、チャーハンを
半分残す。
「全部は、食うな」
そう言って、
スタジオを去る。
エンディング・ナレーション
「翌日、
玄米チャーハンを食べた被験者は
午後3時に眠くならなかった」
「ただし——
笑顔も、なかった」
暗転。
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健康の鉄人 @ddaaii0
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