前世の"魔王"としての記憶を取り戻した俺、ヤンデレ美少女とかに転生した元配下に懐かれる。
シトラス=ライス
第1話 菅田 真央は魔王として目覚める!
「おい菅田! さっさと金出せよ」
「なんで、お前なんかに……!」
「なんだその目は! 舐めてんじゃねーぞ!」
「ぐはっ!」
坂下の鉄拳が腹へ捩じ込まれた。
その衝撃で、俺は高架下にあるフェンスまで吹っ飛ばされてしまう。
そして頭がコンクリートの柱に当たり、鈍い音が脳髄へ直接響き渡る。
「やっぱヒョロガリはよく飛ぶなぁー!」
中学の時の同級生で、今は学校にも行かず、変な連中と付き合っているらしい、この坂下という男。
中学を卒業してやっと、この馬鹿から離れられると思っていたが、またしてもコイツは俺の目の前に現れ、そして現在恐喝をしてきたのである。
「ひゃはははは! おい、菅田立ってみろよ!」
地面にうずくまる俺を見て悪魔のような笑い声をあげている。
と、そんな中、視界に赤が差し込んできて、意識が呆然としだす俺。
「お、おい、これやばいんじゃ……?」
坂下の取り巻きの1人が声を震わせていた。
「ちっ、雑魚が! これぐらいで……なにぼさっとしてんだ! 逃げるぞ!」
そして坂下をはじめとした恐喝グループはその場から、風のように逃げ去ってゆく。
……もし、ここで俺が死んだら、状況証拠とか色々であいつらは地獄行きだ……ざまぁーみろ……
などと強がりを思い浮かべつつ、俺は地面へ伏していった。
今日は気温が比較的高いはずなのに体が寒気を覚えている。
どうやら俺【
ーーそう自分の最期を思い浮かべたその時だったーー
『我が名は魔を統べる王の中の王……"大魔王ゴルゴルディ"! いくぞ、皆の者! 魔族の自由と平和を勝ち取るために!』
明らかに自分とは違う声。でもどこか懐かしさを覚えるその声に、俺は耳を傾ける。
『はっ! 我らが三魔将は、大魔王ゴルゴルディ様と共に! 行くぞ皆のもの! 人間どもを殲滅だぁー!』
ああ……この屈強だけど、スマートな印象のこいつは、1番最初に俺に共鳴してくれヴァンパイアロードの"メルサード"だったけ……こいつは最後の最後まで、愚かな俺を信じて、付き合ってくれたんだよなぁ……。
他にも黄金のリビングアーマーだったり、髪が全て蛇なゴーゴンの美女だったり……多種多様で、しかも大勢……大勢なんて矮小と思えてしまうほどの、有象無象の大軍勢が俺の目の前にいて荒れた大地への進軍を開始する。
「ふ、ふふ……そうだ……ようやく、思い出したぞ……全てを……!」
手始めに無詠唱で"回復魔法"を展開してみる。
発動させた回復魔法は血に染まった、あっという間に血を拭い去り、俺に立ち上がる活力を与えた。
そう今の俺はーー
「菅田 真央とは世を偲ぶ仮の姿……俺の本当の名は"ゴルゴルディ"……大魔王ゴルゴルディである! ふふふ……あーっははははは!!」
全てを思い出した俺は興奮のあまり、かつてのような高笑いを高架下に響かせる。
「ママー! 変なお兄ちゃんが笑ってるー!」
「みちゃいけません!」
と、目の前を慌ただしく走り去ってゆく母子。
他にいた通りすがりのサラリーマンは唖然としているし、JKなんかはクスクス笑いがならスマホを向けている。
……俺は恥ずかしさのあまり、その場からピュッと駆け出してゆく。
そして人目をやや気にしつつも、飛翔魔法を使い、夕焼け空へその身を舞いあげ、とりあえず超高層ビルのアンテナの上に着地するのだった。
俺は今、この瞬間に大魔王ゴルゴルディであったころの記憶も、力も取り戻していたのである!
(色々と思い出したのは良いけど……面倒なことになったなぁ……)
魔王としての記憶、そして規格外の力。
これらは全て、俺が今存在している"平穏な世界"には相容れぬもの。
下手に使えば、今の穏やかな生活が崩壊しかねない。
(特に前世の俺は戦いばかりの日々を送っていたんだ……今の平穏がいかに幸せなことかはよくわかっている……)
だから記憶や力を取り戻したとはいえ、これまでの"菅田 真央"としての生活は絶対に死守しよう。
俺はそう心にそう決めた矢先のこと。
(まずい……前世でかけっぱなしだった千里眼の魔法が、余計なものを発見しちゃった……)
人気の少ないビル群の路地裏。
そこで、さっき俺を殴り飛ばした坂下とその一派が、なぜか"1人の女の子"を執拗に追いかけ回しているのである。
きっとこれは何かしらのトラブルに違いない。
平穏を望む俺にとって、介入すべき事案ではないのは明らかだ。
しかし……
「あーくっそぉ! こんなもん見ちゃったら、どうしようもないでしょ!!」
俺は超高層ビルから飛び、目下で学生服の美少女を壁へ押し付けている、坂下の阿呆どもへ向かってゆく。
「い、いやぁ……! 離してっ……!」
「ジタバタすんじゃねぇ! 大人しくしねぇと痛いめ合わせるぞ!」
「まてぇい!」
今まさに、坂下が黒髪美少女を手にかけようとしていたその時!
「だ、だれだ!?」
「いつの時代・異なる世界においても存在しうる、王道から悪しき道外れし愚かな輩……俺、それを"外道"という!」
「お、お前……菅田なのか……?」
ようやく俺の存在をはっきりと認識した坂下は明らかに動揺した顔をしている。
「菅田……そう確かに俺は、ついさっきまで、ただの菅田 真央という人だったのは認めよう……!」
俺は驚愕する坂下とその取り巻き達を、魔力で紫紺に燃える双眸で睨め付けた。
「だからなんなんだよ、お前!」
「お前らに名乗る道理などない! さぁ、大人しく我に跪けぇい!」
腕を振るい紫紺の魔力を放つ。
それは俺を中心にして波紋のように広がって行く。
坂下どもは紙切れのように吹っ飛んでゆく。
「くっ……!」
だが同時に、まだ魔法の力を完全に制御できていない俺は、自分の指先にも包丁で切ってしまったかのような切り傷をつけてしまった。
ちょっと痛い……まぁ、覚醒したばかりだから仕方ないんだけど……
「お、お前は一体……がはっ……」
でも指先に傷を負いつつも、魔法によって吹き飛ばした坂下どもを、気を失わせるのには成功したようだ。
これにてお掃除は完了。
「あとは記憶改竄の魔法をっと……」
伸びている坂下どもへ、記憶改竄の魔法をかけて、俺のことに関する情報の一才合切をかけるのだった。
こうすることで俺の平穏は保たれる。
「しっかし……ぐっ……この人数に改竄をかけるのは結構きついなぁ……」
やはり人間となったことでの魔力の衰えを実感する。
これはあまり多用できないだろう。
まぁ、平穏を望む俺にとっては、逆に有難い状況ではあるが。
指の血も止まんないから、治癒魔法をかけたいけど……でも、その前に……あいつらに追われていた美少女から俺の記憶を消さないと……
「あれ? どこいった……?」
何故か真正面から美少女の姿が消えていた。
さすがに焦った俺は周囲に視線を巡らせる。
「こちらでございます、魔王様!」
驚いて視線を下げる。
するとそこには地面へ恭しく傅き、頭を垂れている学生服の美女2人の姿が!?
「私のことをお忘れですか!? ヴァンパイアロードのメルサードでございます!」
黒髪清楚な印象で、おっぱいが大きな美女が、そう口にしてくる。
なんか見覚えが……てぇ!?
この人って【
我が校一の黒髪美少女で、おっぱいも大きい!?
「ああ、なんてこと!」
と、驚いている俺を尻目に、千祭さんはググッと距離を寄せてきてーー
「ちゅ……ちゅぷ……はむはむ……」
「んんっ!?」
「むふっ……んんっ……まおう、さまぁ……ちゅるるる……!」
指先へ唐突に感じた甘やかなで刺激的な感触。
学校一の美少女が、急に俺の指をちゅぱちゅぱ舐め始めたぁ!?
【作者からのお願い】
さぁ、カクヨムコン11終了まで1ヶ月を切りました。
そこでの新作投入となります。正直、規定の10万文字へ期間内に間に合うかは怪しいところです。
でも、今出来上がっている分だけで、★100とか200とか、それ以上行ったのなら、精一杯頑張って、10万文字を目指そうと思ってます。
もし行かなかったら、そこまで頑張んらず、ある程度のところで終わりにして、他のことをしようと思います。
つまり皆様の応援がダイレクトに反映される作品となります。
なので本作が気に入った・気になる方はぜひぜひフォローや★の投入などの応援をよろしくお願いします!
これ、ぶっちゃけ賭けです!
本作はこれまでと違って、明るく、楽しく、バカバカしく進めていければと考えてます!
次の更新予定
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