終わりなき旅に、ごぶうんを。

本作は、終末世界を羽ばたく一機のドローンをえがいたおはなしです。

いきものを見つければシャッターを切る。
そして“お山の博士”に報告をする。
彼彼女らからの定期連絡がないことに、
痛める心もありません。

しかしドローンの目に映るのは、
些か熱のないものばかり。
フォルダの無駄になるからと、
無機物を撮っては消しての繰り返しです。

そうしてどれだけ羽ばたいたか、
ドローンは一匹の蜂をレンズに捉えます。

ドローンはすかさず近寄ります。
いきものを見つけたら、撮影・報告がお約束だから。
そうしてたくさん撮るために、近づいて、近づいて近づいて──近づきすぎた。

意思もないのに愚かしいドローンは、そうして──。

♢♢♢

つがえもしない、熱もない、
ひた歩くだけの冬の蜂。

彼の者の終わりなき旅路に、
ささやかな祈りを捧げておきます。


ポストアポカリプスど真ん中の、
短くも味わい深い作品です。

形容のお洒落さ、表現の流麗さを、
何回でも見返してほしいです。

ぜひ一度、手に取ってみては。