第2話 君は特別


 試合当日、会場に訪れると案の定多くの観客でいっぱいだった。俺は目立たないように、端の奥の席に座ることにした。一人でバスケ観にくるのってハードル高すぎだろ……。


「たしか、背番号10番って言ってた気がするな……」


 背番号を目で追う前に、多くの女性のファンが黄色い歓声が上がっていて、すぐに見つけることができた。

 アイドルファンかのように手作りのうちわやボードを持ってきている人もいた。


「すごすぎだろ、俺場違いじゃね……」


 そんなことを考えながら、試合を見ていると、永遠が3ポイントシュートを決めていて、熱狂的な女性ファンは、さらに歓声を上げる。

 永遠はというと、観客の方を見ていて、誰かを探しているようだった。

 一番前の席のファン達が、今こっち見たよねなどと興奮気味に話している。

 永遠は口の動きだけで何かを伝えているようだった。

 俺は、観客にまみれてかろうじて永遠のことが見えるような距離で、一瞬目が合った気がしたけど、思い違いだと思いたかった。

 

 永遠のチームは圧勝で、コートから観客に向かって手を振って、観客が一斉に追いかけるようにして、外に出ていく。出待ちでもするんだろうか。

 俺も帰ろうと思って席を立ち、人がある程度いなくなってから、帰ることにした。


 会場を出ると、やっぱり人だかりができている。俺は、人の波に飲まれないように、できるだけ人通りの少ないところを通って帰ることにした。


 駅に着く途中で、スマホが鳴る。


『もしもし』


『理央って今どこにいる?』


『駅の近くだけど』


『そっち向かうわ』


『え、ああうん』


 少ない会話で電話は切れる。

 駅の近くで待っていると、永遠が走ってきたのがわかった。


「待っててくれてありがとう。帰ろう」


「うん」


 俺は内心かなり嬉しかったのを恥ずかしくて見せないようにした。だって自分のために走ってきてくれたことが、自惚れてしまいそうだったから。


「今日、来てくれてありがとう」


「だって、行くって言ったから」


「ああ、そうだよな。でも、理央が来てくれたことが本当に嬉しかった。かっこいいところ見せられてよかったわ」


「いや、本当かっこよかったよ」


「ありがとう。でも、なんか素直じゃない?」


「そう?てか、いつも頑固みたいに言うなって。まあ否めないんだけど」


「理央のそういうとこも好き」


「……マジ、そういうとこだぞ?」


「何が?全然わかんない笑」


「だから、イケメンは違うんだよな〜」


「それ今関係ないだろ。てか、イケメンじゃないし。そもそもスポーツしてるやつってかっこよく見えるじゃん?たぶんあれだって」


「謙遜してるのもイケメンかよ……ああ、勝てねぇわ」


「だからやめろって笑」


 そう言いながら、俺の肩を軽く小突いてお互いに笑いあいながら家に帰った。




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