第四話 術師とは、
先に動いたのは――と、実況でもしようかと思ったが、すぐにやめた。
誰一人として名前も学年も分からない。
説明しようがないな。
人が、術を撃ち始めた。
それ以上でも、それ以下でもない。
しばらく眺めていると、三つの集団に分かれ始めたのが確認できた。
学年だろうな。
これといって実力差は感じられない。
ただ、役割分担が出来ているのが三年次だ。
式札使いが前に出て結界を張る。
物理的に遮断し、動線を限定する。
その内側から、複数人が術を重ねて攻撃する。
効率的だ。
美しくはないが、間違ってもいない。
なんというか――
故意的に呼び出しておいて、後始末が気にいらない。
霊怪は消せば終わり、という話ではない。
残るものがある。
歪み、残滓、観測の痕跡。
それらをどう扱うかが、本来の仕事だ。
担任に視線を向けると、すぐに気づいたらしい。
「言いたいことは分かる」
こちらを見たまま、目だけで術場を示す。
「然しな。術学館内で、術の開示を前提とした協力って授業は、行えない。分かるだろう」
分かる。
だから、言わない。
術師というのは、護る為にあるものだと、己は考えている。
護る対象があるから、手順を選ぶ。
責任があるから、慎重になる。
この場には、その対象がいない。
故に、乱雑でも被害は想定されない。
そんな環境であれば、力技で潰す、という結論に行き着くのは当然だ。
但し。
ここには、術師じゃない者が居る。
己だ。
顕れた時から、こちらへの視線を感じている。
術を撃つ者達ではなく、
撃たないこちらを、見ている。
さて、どうしたものか。
生徒らには、頑張ってもらいたい。
己は、ただそう判断した。
次に動くかどうかは――
まだ、決める段階ではない。
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