壊れないスマホ…

@kafu714

第1話

「この端末の持ち主には3ヶ月後に恐ろしい最期が待っています、余生をお楽しみください。」

友人の健吾から譲り受けたスマホの電源をつけた途端、余命宣告をされた。


俺の名前は陸…平凡?な普通の高校生だ。

うちの家は前からデジタル機器…特にスマホなどを極端に嫌い、今の今まで買ってもらうことができなかった、それじゃあこれから買ってもらえるのかと言ったら…答えはNOだろう。

「おはっよー!」

高校の教室で家族に対する愚痴などを心のなかで唱えていると、突然体を引っ張られ椅子から落ちそうになる。

「危ねーだろ!」

少しだけ笑いが混じる、身体を引っ張てきたのは友達の「健吾」刈り上げがバチッと決まっているイケメンだ…何故か少し腹が立ってくる。

「おはよー」

次に挨拶が飛んできたのはほわほわとした雰囲気をまとったマッシュヘアーの男子「悠斗」小柄だが、武術をやっていたという噂を何処かで聞いたことがある。

「何してたの〜?」と悠斗が、「こいつにダル絡み!」と健吾が二カッと腹の立つ顔で言ってきた。

健吾がガサゴソと財布の中のなにかを探しているかと思うと、くしゃくしゃの小さな紙を出してきた。

「カラオケのクーポン今日までなんだけど…行く?」と親指をぐっとなにもないところに刺す。

「僕はいけるよ〜」と悠斗が答えると2人が俺を見つめて返事を待っている。

「俺も…行けるよ…」と呟くと、拳を突き上げ「シャー!カラオケだ〜」と健吾がはしゃぎはじめる。

流石にはしゃぎすぎたのか数分後に、悠斗からみぞおちに一発入れられていたのが遠めから見える。

(悠斗はうるさいの嫌いだもんな。)と頭で突っ込んでいると教室の前のドアがガラガラと開く。

「はいみんな静かに〜席につけ〜」

退屈で長い学校生活が始まる。


学校が終わり3人で横並びになりながらカラオケへと向かう。

「あ、そうだ陸ー?お前スマホ欲しがってたよな?」と唐突に話し始めたかと思うと返事をまたずにどんどんと発言をし始める。

「機種変してさー前使ってたスマホまだうちにあんだけどお前使うか?」

返事を待っているのか少し静かで、嫌な空気が漂う。

「…ちょっと考えさせて…」なにか察したような顔をすると

「おう!」と返ってきた。


カラオケが終わり全員の声がガラガラになりながら、声を絞ったように会話を始める。

「いやー歌ったね」と悠斗、「久しぶりだから本気出しちまった!」と健吾が言う

健吾が言っていた、スマホの件についていまだに悩んでいる。

「で、スマホどうすんの?」と再度質問を投げかけてくる。

少し悩む素振りを見せ、健吾の顔を見上げる。

「もらうよ」と返事を返す。

「じゃあ僕はここまでだから~バイバイ〜!」と手を振りながら、駅へと向かう悠斗を見送る。

「家近くだからついでにスマホ持って帰るか?」と問いかけてくる。

「うん、そうするよ」と、今日の学校で起きたことを話しながら、健吾の後ろをついていくと立派な一軒家が見えてくる。

「ちょっとここで待ってて」と言いながら家の中に入っていく。

玄関の前で5分ほど待っているとガチャっと言う音、共にドアが開く。

「はいこれな!親にバレないように隠し持っとけよ!」とスマホの入った紙袋を差し出しながら言う。

「あぁ」とグータッチを交わし、そこで別れた。


帰ってきてそうそう、もらった紙袋からスマホを取り出す。

バッテリーがまだ残っているようで電源ボタンを長押ししていると、制作している会社のロゴと共に謎の文章が映し出される。

「この端末の持ち主は3ヶ月後になくなります、そしてあなたのご友人2人も2ヶ月以内になくなります」

「え?」と無意識に呟く。亡くなるとはどういう意味なのだろうか。

健吾のいたずらとも考えたが…あいつにこんな事ができるほど頭脳と技術は持ってはいない。

じゃあ一体この文字は何を表しているのだろうか。


なんやかんや使い始めて1ヶ月ほどたった、あの言葉はまだ頭の片隅に残っているが、なにか起こるわけでもないためそういうものと割り切っていた。

だけど、この文章が本当のことになるとは、その時の俺はミリも思ってなかった。


ある日の学校終わり。

相変わらず2人と遊んでいるとスマホにメールが送られてきた

「5日後、悠斗が交通事故でなくなる。」

ただそれだけ、何時にどこでなくなるのか以外は特に書かれていない。

スマホのホーム画面にはタイムリミットのウィジェットがいつの間にか配置されていた。

普通のウィジェットなら、長押しすれば削除できるはずなのだが…何をしても…移動すらしない。

どうすれば良い、と一人で悩みこんでいると、その日は訪れた。


今日は悠斗が死ぬ…と言われている日だ。

空はどんと暗く雨がザァザァと降っている。

頬杖をつき、外を眺める…スマホに出てきたアレはほんとに当たるのだろうか…

浅い思考を巡らせていると、気晴らしにスマホを覗く。

検索アプリを開くとある一つのニュースがそこには大きく張り出されている。

「「〇〇駅で人身事故が発生、高校生が自殺か!?」」

呼吸が浅くなり、心臓がバクバクと強く唸っている。

この駅は…悠斗が通学に使っているところだ…

「でも…まだ…悠斗って決まったわけじゃ…」

焦る心臓、回らない呂律…ほんとにあのスマホに出てきたとおりだ…

呼吸を戻そうとした時、メッセージアプリの通知音がなる。

「おいやべぇーて!」

「これ悠斗のことじゃねぇよな!?」

2つの文章の間にはさっき見たニュースサイトのリンクが貼られている。

画面越しでもわかるほどに健吾も動揺しているのがわかる。

「俺もさっき見たよ…どうなんだろうな」

震える指先を動かし、送信ボタンを押した…帰ってきたのは健吾のメッセージではなく、次の余命宣告だ。


スマホのバッテリー残量を映し出すアイコンの隣には…悠斗の死を宣告したときと同じアイコンが並んでいる。

まだ震えている指で通知の欄を押すと…毒々しい赤い文字であることが書かれていた。

「1ヶ月後、健吾は殺害される」

ただそれだけ、誰に?、どうやって?それ以上の情報は書かれていない。

唖然としているとドアがガラガラと勢いよく開かれる。

「おい!陸!悠人は!?」

「…まだ…来てないよ…」

2人だけで大騒ぎをしているうちに、いつの間にか出ていた涙でぼやけた視界が晴れてくる。

その日は、悠斗のことが気になりすぎて、授業に集中できなかった。

学校が終わり、帰宅した時に親から悠斗が死んだことを聞いた。

死因は飛び込み自殺…らしい。


半月ほどたち、俺は今あることに熱中している。

それは、このスマホを破壊することだ。

破壊したからと言って悠人は生き返らないし、健吾の未来が変わるかもわからない。

それでも一筋の光を追いかけるようにありとあらゆることをした。

例えば石で背面や画面を叩き割ってみようとしたが、ほぼ傷はつかず…使っていた石は砕け、手には石を強打したことによる青痣が大量にできていた。

次に、高いところから落としす方法だ。

結果は相変わらず無傷、落とされた地面のほうが凹んでいた。

他にも、燃やしたり、冷やしたり、切断したり、色々試したが全て効かず、変わりにオレの心が壊れかけた。

突然告げられた運命に抗うように、必死に抵抗したが、その日は来てしまった。


「今日は健吾が…死ぬ日…かぁ」

まだ救えるという希望も、今日までの日に全て崩れ落ちた。

もうこの理不尽な運命に身を委ねたほうが楽かもしれない…

ゆらゆらと学校に行き、少しの時間がたちホームルームが始まった。

この教室には空席が1つしかないはずなのに…今日は二つある。

健吾の席だ。

あいつは遅刻することはあっても、連絡はいれるはずだ。

今日は連絡が来ない。もう前ほど動揺もしなくなってしまった。

頭は動かず、1日中ボーっとして学校が終わってしまった。

帰り道、いつもは狭く感じていたのに今日は何故か広く感じてしまう。

家へとあと10歩のところでスマホの通知がなる。

急いで確認してみると一つのニュースがそこには映し出されていた。

「「〇〇町にて、高校生が殺害、犯人は逃走中。」

きっともっとしっかりとした文章で書かれているであろう言葉も、今の俺にはただの簡素な文字列でしかない。

そしてもう一つの通知が鳴り響く。

きっとこれが俺にとって最期のメールだろう。

そう思い、通知欄を開く。

「3日後、あなたは死にます」

送られてきたメールを見たときに思ったことはそれだけ?だ。

他の2人は1ヶ月や死因ももっと詳しく書いていたはずだ。それなのに何故俺のときはこんなに短く、そしてなんとでもとれる死だけなのか…と。


時間というものはあっという間で、すぐに3日経ってしまった。

もうなんとでもなれと思いふらふらとゾンビのように町を練り歩く。

少しコケた頬が周りの人の目を引き付ける。

大きなマンションの下まで来たとき、ここで死んであの2人にアッチで会うか…この運命に抗うか…そんな厨二臭いことを考え、どうしようかと悩んでいると頭に衝撃が走った、何か妙案が閃いたわけではない…後ろにそびえ立つマンションのどこかの階のベランダに置かれていたであろうプランターが頭に直撃したのだ。

頭から胸にかけて、嫌な感触が地面を伝って徐々に広がっていく。

少しずつ頭が真っ白になっていく…遠くからあの2人の声が聞こえてきた。

二人の声に導かれるように…俺はそっと…目を…閉じた。


目を開けてみるとそこは天国…ではなく、なんの変哲もない…いつもの教室だ。

「お!やっと起きた〜お前うなされてたぞ〜」

何故か懐かしい声が聞こえ、顔をあげてみる…そこには…いつもの調子の健吾と悠斗がいた。

「どんな夢見てたの?ちょっと泣いてるし!」

そう言われ、なぜだかこっ恥ずかしくなり急いで、服の袖で目元を拭う。

意識をしっかりと起こすように、頭を2.3度振る。

「それが超怖い夢見てよ〜」

いつもの日常が戻ってきた。


「あなたは1ヶ月以内に悠斗と健吾を殺害します」

健吾の部屋、袋のなか電源をつけることは不可能なのに、画面には赤黒い文字で誰に対しての言葉かわからない文章を映し出す。

数秒映したかと思えば、プツンと電源が切れた。






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