異世界にもあった鬼畜な会社の鬼畜な業務異世界転移してきたのに変わらぬ社畜生活
優太
第1話 1.導入部
西暦2167年以来、多鏡面世界へ航海が可能となり、多くの会社が進出に挑戦していた。そんな時代のとあるビルの一室にて、「我がワンダーランド社もついに異世界への渡航許可を得ることができました!」と重役や社員の前で、歌うようにプレゼンテーションをしている派手な化粧の30代の女性がいた。
派手なアニメーションにカラフルな字、抽象的な内容。ありきたりな鏡面世界への渡航のプレゼンに 加賀見 則明は、飽き飽きしていた。
「社員は何名送れるのかね?」プレゼンを遮りで専務が尋ねた。
プレゼンを遮られたことで一瞬、眉間に皺がよったが、「後ほど、説明いたしますが、1名です。今回は乗り合いになります。社長と常務との打ち合わせで加賀見課員を送ることになっています。承諾書のサインも頂いています。明後日には渡航となります」
会議室はどよめいていたが、加賀見は他人事ように聞いていた。
加賀見が搭乗した渡航船ミラーワールド109号が到着した世界は、人が生きられる世界だった。運が悪ければ、到着した瞬間、全員、死亡。今回は、渡航者97名(30名ほどが船の管理者)、全員、生存して、到着した。どうやら、ついていたようだ。これから、約2年間、探索に携わることになる。新素材か転用できそうな新技術の発見が最も会社の査定が良くなるのだが、それは、他社の社員も狙っており、競争率は高い。
「あーしばらくは、大手さんの後ろをうろうろしつつ、探索かな」センタールームで船の外部をモニターしながら、考えていた。加賀見の会社は中小企業に類するため、準備されたアイテムが豊富でなく、調査には他社やこの世界の住民の協力が必要であった。
「すみません、今、写っている場所って、拡大表示して貰えませんか?」
声をかけられた方を見ると、若干だが、ウエストの太めの愛嬌のありそうな20代らしき女性がいた。そして、彼女のそこそこにボリュームある胸と身分証プレートを少しの間、見ていた。プレートには、国定第7大学研究生 織多順子と書かれていた。胸のあたりを見られているためか、女性がえっ、うぅっとおどおどしはじめていた。
「ええ、少々お待ちを。織多さんですが、何か気になる点でもありましたか?」
立体映像を拡大させると、彼女が自分の後方からのぞき込んできた。胸が右肩に触れて、ちょっと気持ちいいかもと邪念にとらわれつつも拡大された部分に目を凝らす。
「わー綺麗な花ですねー。人工的には見えませんが。えっ何、何か起きたの」
突然、船内にアラートが響く。
船の周りに爬虫類のような異形種が取り囲んでいる。何匹かは、船に張り付いているようだった。船の責任者からのアナウンスが響く。
「解析言語システムによって、コミュニケーションがとれないため、攻撃開始します。搭乗者各位、船内での武器の携帯を許す」
アナウンスの内容からすると、かなり、切羽詰まった状況だ。保管庫に急ぐしかない。
「保管庫に会社からの支給武器、取りに行きますね。織多さんも保管庫に行く?」
「はっはひ、行きます。行きます」彼女が返してきた。
レーザーナイフに火炎放射器、いくつかの銃器と捕獲用のスタンソードを受け取り、織多さんのほうを見ると、薙刀のみを持っていた。しかもレザー形質処理のものでなく、鉄を研いで造られる古いタイプのものであった。
「いやいや、それ、ないっしょ。ってか、それだけ?」ついつい、敬語が崩れ、地が出てしまった。
「えーと、実家に代々伝わる薙刀ですよ。扱いやすくて、いいですよ」
渡航者が集まるよう指示されたセンタールームに戻ると、そこは、血色と青色の液体で床が濡れており、倒れている幾人もの人間と見慣れぬ生物がいた。
「なっなんで、ここに外来の異形種がいるだよ」後から来た男のヒステリックな叫び声に呼応し、その生物が向かってきた。
「はぁぁー」気合と共に薙がれた刃がその生物を両断した。
その瞬間、「えっマジなの」その技にこの場にいた何人かが一斉にハモった。
「侵入者って何匹でしょうねー」
彼女のその発言に誰も答えることはできなかった。
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