俺はスキル「デジタルペイントツール」で異世界で絵描きとして生きていく。

雪野春

第1話 謎のメール

「このメールは何だ!?」


 俺の名前は線打量画(せんだりょうが)。

 名前といっても、この名前は本名ではなく、イラストで同人活動をする際に使っているペンネームだ。


 俺が徹夜でデジタル同人誌を描いていた時。深夜2時。

 何日も掃除していないズボラな部屋───ペットボトル、弁当箱の空、その他様々な物が散らかっている薄暗い部屋のリビングにあるテーブルの上で絵を描いている。


 使用しているツールはデジタルカラーボックス。

 日本国内で最も普及しているデジタルペイントツールだ。


 俺は自分で撮った手の写真を見ながら女の子の絵を描いている。

 正直辛い。

 だがしかし、実在人物の写真をそのままトレースした絵をアップロードすると、ネット上で炎上してしまう可能性があるので、自分の写真を参考にして絵を描いている。

 正直辛い。何が悲しくて自分の写真を撮ってそれをトレースして絵を描かなければならないのだ。気分が盛り下がる。


 だがしかし、描かねばならぬのだ。

 うだつの上がらない同人作家として活動していて、知名度がほとんどない身でも、自分の作品を待っている読者がいると思うと、描かねばならぬのだ。


「早く売れて大金持ちになりたいよう......。」


 俺は小声でつぶやいた。


 そして自らのSNSアカウントに自分の描いた絵と自分の腕の写真と適当過ぎる飯写真と共に、これが絵師の現実というつぶやきを載せた。


 その直後だった。


「このメールは何だ!?」


 俺が適当に深夜のSNS巡回をしていたら、メールの通知が来たので内容を確認した。


「異世界スフィアへの招待?

 スフィアって確か英語で球体って意味だよな?」


 スパムメールか?

 誰かが俺の創作用アカウントを乗っ取る為にこのメールを送って来たのか?


 俺はメールに添付されているリンクにカーソルを合わせてみた。


「スパムリンクみたいなぐちゃぐちゃな英文のリンクじゃないけど、念のためにクリックしないでおこう。」


 俺は深夜に突然送られてきたメールをスパムメールだと判断した。


 疲れているのかな?


 ここ最近はずっと徹夜続きだし、体調も悪い。

 不健康な食事と生活習慣が祟り、体調に影響を及ぼしているようだった。


「疲れてんのかな?

 気分転換に深夜の散歩でもするか。

 散歩は無料だし。」


 俺は自分の作業部屋であるリビングから出ようとして、玄関へと繋がる扉のドアノブへと手をかけて回し、扉を開けた。


 しかし、開けた先は玄関ではなく洞窟だった。


「え?」


 そして、目の前に異世界ものでよくあるステータス画面らしきものが表示される。




 World name:Sphere


 Your name:Ryouga Sennda


 Your Race:Human


 Your gender:Male


 Your Skill:Digital Paint Tool




「英語かよ!」


 幸い、多言語版のソーシャルゲームをプレイする事があるため、読む事が出来た。


 

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