人間嫌いの俺に、異世界の女の子たちが優しすぎるんだが?
桜兎(さくらびっと)
第1話[僕は人間が怖い]
僕は学校に行けなかった。
いや、学校に行けなかったというより外に出れなかったの方が正しい。
いじめられていたとか馴染めなかったわけではない。人間が怖かったのだ。理由は自分でも分からない。
けれどはっきりと”人間は怖い”と思ってしまった。
小学校1年生から4年生まではなんとか保健室登校で頑張っていた。小学校5年生から6年生は保健室登校すらしなくなった。
ずっと家の自室に籠っていた。保健室の先生や他の先生も怖かった。親ですら怖かった。
それではだめだと自分でも思っていた。何度もそんな自分を変えようと行動を起こそうと思った。
けれど”人間は怖い”そう思ってしまうせいで一歩が踏み出せない。そんな自分が悔しくて泣いた。
中学校はずっと保健室登校だった。
なんとか外に出れた。保健室登校ですら自分にとって勇気の一歩となる。これで何か変わればいいなと思っていた。
――――けれど現実はそんなに甘くはなかった。
チャイムが鳴り、お昼休みになる。勇気を出して廊下に出てみた。
人が多い。当たり前だが僕にとっては意識が飛ぶほどの不快感に襲われる。鼓動が早くなり吐き気もしてくる。
そして、クラクラになりながら保健室のベッドへと戻ろうとした。
今度こそと思ったがそううまくはいかない。あまりにもきつすぎる。
「人間が怖い...」
そう口に出した瞬間突然心臓が苦しいくらい痛い。頭も取れそうなほどの頭痛に襲われる。
(くそ...。なんなんだ)
そして目の前は暗闇に包まれた。
「ん...?」
太陽の気持ちのいい光で目を覚ました。
なんだ?僕は今どうなっている?
周囲を見渡すと、見覚えのない景色が広がっていた。高級そうなタンスや机、そして今自分が寝ているベッド。
今着ている服もすべすべで肌触りが抜群だ。
「ここはどこだ?」
コンコン。と大きな扉の方からノック音が聞こえてきた。
ガチャ。瞬間、扉が開かれた。
「...ノア様!!!」
女性が驚いたように目を見開いてこっちに駆け寄ってくる。
「よかったです...。本当に良かったです...!」
駆け寄ってきたかと思ったら、なぜか泣きながら抱きしめられた。
(すごい美人な女性だな。ってそれよりなんだ?この状況は?)
「今、アリア奥様を呼んできますので横になりお待ちください」
そう震えている声で言い、部屋から出て行ってしまった。
「本当にどういうことなんだ?ここはどこなんだ?」
いろいろなことが一斉に起きたせいで理解が追い付かない。
頭の整理をしようといろいろと考えること数分。また扉が開いた。
「...ノア!大丈夫なの?本当に心配しましたよ...」
また抱きしめられた。心が温かくなる。
人間が怖くて嫌いだったのにこの人たちだったら不思議と"怖い"という感情も"嫌い"という感情も湧き出ない。
普段だったら、吐き気がするほどつらいのに。本当に不思議なことだ。
「ノア様...?なぜ泣いているのですか?」
頬が濡れる感覚がある。そっと自分の頬に触れる。泣いている。なぜだ?なんでこんなに涙が止まらないんだ?
自分でも訳が分からない。けれどしばらく涙が止まることはなかった。
人間嫌いの俺に、異世界の女の子たちが優しすぎるんだが? 桜兎(さくらびっと) @Sqkurq_Bit
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。人間嫌いの俺に、異世界の女の子たちが優しすぎるんだが?の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます