40歳の課長と20歳のインターン|百合しっとり
岡山みこと
40歳の課長と20歳のインターン|百合しっとり
会社の喫煙室できつめのタバコを浅く吸う。
若いころは肺までしっかり煙を入れていたが、40歳を超えるとさすがにそれもきつくなった。
それでも軽いものに逃げないのは意地か何か。
今日は比較的早く帰れるかなと、机に置いてきた残業を思い出す。
「課長くさいー」
「吸わないなら出ていきたまえインターン君」
「私の名前は君江ですよ」
うちから内定が出ている比較的優秀な女子大生。
3カ月間のインターンの部下として配属されてきた。
地頭も良くて機転も利かせられる。
5年も会社で学べばきっと貴重な戦力となってくれるはずだ。
ただし、
「この可愛い君江ちゃんといつご飯に行ってくれるんです?」
驚くほど空気は読めない。
「残り1週間のインターンを終わらせて無事大学に返す。
それしか考えてないわ」
煙がかからないように吐き出す。
内定が出たからか、黒から戻した明るい髪。
脱色しているのに、なぜあれほどに艶があるのだろう。
メイクも流行りなのか私とはやり方が違う。
ここまで差があると女として嫉妬心すらわかない。
「だいたい年が倍くらい違うオバちゃんと遊んで何が楽しいのよ」
「できる女!って感じで先輩人気ですよ?」
「本当に人気ならとうに結婚してるわ」
体型くらいは気を付けているし、恋愛もそれなりに重ねてきた。
だからこそ分かるんだ。
私は誰かと添い遂げる、恐らくそういうことに向いていないのだろうな。
「君みたいに若く素敵な女性が声をかけてくれるのは光栄だけど」
タバコを水バケツに放り捨てる。
「君は年の差というのを軽く考えすぎだ」
「そんなことーー」
煙の臭いがする指を彼女に向けて制止する。
「即答できるという事がその証拠だよ」
未来への怖さを知らぬ若さとは、かくも眩しいものだな。
喫煙室の扉に手をかけた。
「君が出世した時には上司として食事くらいはご馳走するよ、お祝いだ」
自分でもわかる嫌味な表情で、
「早く帰りなさい、君江インターン君」
そう告げて残業へと戻った。
40歳の課長と20歳のインターン|百合しっとり 岡山みこと @okayamamikoto
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