てるてる坊主

江賀根

訪問

冬とはいえ、ひたすら坂道を歩き続けていると、全身が汗ばんできた。

俺は立ち止まってダウンジャケットを脱ぐと、脇に抱えた。

この辺りに余所者が来ることが珍しいようで、農作業中の年寄りたちが、遠慮なく俺に視線を向けている。

詐欺グループとでも思われているのだろうか。


バス停から30分ほど歩いて、ようやく柳さんの住む家に着いた。


赤茶色のトタン屋根の家は、年季は入っているものの、一人暮らしには十分過ぎる大きさだった。

表札には違う名字が書いてあったが、柳さんの前に住んでいた親戚のものだろう。

以前送られてきた写真を見る限り、ここで間違いない。


早速呼び鈴を押してみたが、音が鳴っている気配がない。

俺は、引き戸式の玄関を叩きながら、柳さんの名前を何度か呼んでみたが、反応はなかった。


——裏に回ってみるか。


家の裏手に回ると、雑草が伸び放題の庭が広がっていた。

そして、家屋を見た瞬間、俺は息を呑んだ。


——なんだこれは。


軒下の端から端まで、大量のてるてる坊主が吊るされていた。

柳さんの仕業なのか。


近づいてみると、全てのてるてる坊主に、線で描かれた笑顔が浮かんでいた。

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