【カジノの武器強すぎワロタwwwww―伝説の武具より強いカジノの武器で最強無双―】って話だよ。

嬉野K

愛されているな、と

第1話 460

――これから起こることは全部、お前の弱さが招いた結果。甘んじて受け入れるんだね――





 その女剣士は言った。


「伝説の英雄様が使った刀の攻撃力はいくつでしたっけ?」

「たしか120だな。現代最高の刀鍛冶が作った武器でも95くらいだから、相当強い武器なんだろうな」


 さすがは伝説の英雄が振るった刀である。


「では、このカジノの景品である【スーパーウルトラグレートカジノソード】の攻撃力は?」

「460」

「なぜ……? なんで伝説の武器よりも強いんですか? そもそも誰が作ったんですか? なんでカジノの景品として大量生産されているんですか?」

「んなこと俺に聞かれてもな」


 カジノの景品として実際に交換対象となっているのだから。

 その理由なんて俺は知らない。


 ともあれ俺は言う。


「で、どうする? お前さんがこのカジノ刀をほしいって言うなら、俺がカジノで稼いで交換しても構わない」

「し、しかし。私には弟から受け継いだ大切な刀が……」

「その刀、攻撃力は?」

「87……」


 充分に名刀だ。

 この世界に存在する武器の中で最高級のものだ。


 だがカジノ刀には及ばない。


「お前さんの目的は魔王を倒すことなんだろ? だったら、プライドなんか捨てて強い刀を手に取れよ」

「……っく……」


 女剣士は、相当その刀に思い入れがあるようだった。

 武器を持ち替えることに強い抵抗があるようだ。


 女剣士は言う。


「なぜですか?」

「なにが?」

「なぜ、私のために武器を調達してくれるんですか? さっきも言いましたが、今の私に金銭報酬は出せませんよ」


 彼女は俗に言う没落貴族だ。

 手助けしても金なんてもらえない。


 だが、


「俺はこのカジノの必勝法を知ってるんだ。刀がもらえるまで稼ぐなんて朝飯前なんだよ」

「ですが時間と労力がかかるでしょう? なのになぜ? 初対面の私のために、そこまで……」


 初対面、か。


 彼女からすれば俺とは初対面だろうが、俺は彼女のことを知っている。

 もちろん詳しくは知らないが、を知っているのだ。


 仕方がない。

 俺の正体を明かそう。


「すぐには理解できないかもしれないが、聞いてくれ」

「はい」

「俺はこの世界とは別の世界から来た。ってやつだ」

「転生……パラレルワールドのようなところから来た、ということですか?」


 話が早くて助かる。

 石頭かと思っていたが、意外と融通がきく人なのかもしれない。


「ああ。そしてなんだ」

「ゲーム……? トランプやチェスのような?」

「それはちょっと違う。例えるなら、そうだな。物語の中の世界ってことだ。遊べる小説、みたいな感じだと思ってくれたらいい」


 ゲームという概念を知らない人に、それを説明するのは骨が折れる。


 だが彼女は結構理解力が高いようで、


「この世界は物語。つまりアナタは物語の結末を知っていて、私は物語の登場人物。そういうことでしょうか?」


 理解早すぎだろ。助かるけど。


 だが肝心なのはそこじゃない。


「ああ。そしてお前さん……

「私が、ですか?」

「そうだ。ボロボロにされて、顔面が焼けただれてグチャグチャになって、苦しんで死んでいくことになる」


 それが俺の知っている物語。

 俺は続ける。


「強い武器があれば、その未来を回避できるかもしれない。そう思ったから俺はお前さんに協力を申し出たんだよ」

 

 悲惨な死を遂げるキャラクターなんて少ないほうがいい。


 ……


 本当は彼女と出会うつもりもなかったんだが、出会ってしまったものは仕方がない。

 彼女が死んでしまわないように、できる限り手助けをしたい。


 そんな彼女――女剣士スイセンとの出会いは、今から1週間前のことである。

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