8頁 残 声
僕は道の路肩に、座って休んで居た。
すると道路の奥から不連続な『声』が聞こえて来た。
声は徐々に僕の方に近づい来る。
痩せてまるで幽霊の様な声。
声の主はよろよろとしながら、ハンドルを握って歩いて来た。
それはヒトの殻(カラ)を纏(マト)って、独り言を喋っている。
僕はその不連続な声を黙って聞いていた。
「・・・か当本・・・。かのたっ取点百。かいなゃじい凄。?はんゃちあか・・・るて配心ちゃん父の事を・・・ちゃん父はだ大丈夫。ダカラの父ちゃんだ。・・・シオとあちゃが付いてるな。・・・お土産?・・・分かった。る持って帰ずかなら。・・・うん?・・・かべ食たか。ばい食べ・・・三杯?・・・凄いじゃないか。こう遊園地か?・・・じゃ、で三人・・・」
この声は繋がってない。
生きてる言葉ではない。
狂っている。
この道は人の通る道ではない。
僕は間違った道に迷い込んでしまった様だ。
周りを見ると、見た事もない景色だ。
僕は声の主を呼び止めました。
「おいッ!」
返って来た声は、
「お〜い、お〜い、お〜い、お〜い・・・」
木霊(コダマ)の様な声だった。
骨と皮の痩せた声だった。
声は僕の横を風の様に通り抜けて行った。
遠くで車のぶつかる音がした。
女性の悲鳴が聞こえる。
この家族は「声」を残して逝ったのだ。
あの声の主は死人(シビト)の声だ。
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