声を上げずとも

Wry

優しさとは、

優しさは、時に嫌という程鋭くそして温かいものだ。


優しさとは、なんだろうか。

この問いを考えたことのあるものはきっと世の中にごまんといるだろう。

そしてそれぞれがその答えを出し、それに沿って生きていく。

それでいい。

それを承知の上で私の優しさを聞いて欲しい。


よく人は優しい人が好きだと口にする。

私だって優しい人は好きだ。

優しいと聞けば好意を覚える。

優しいと聞けば不安なことなんか何一つないように、そう思える。

優しさは一言で表すのを拒まれるべきだと思うほど、人それぞれだ。


例えば、浮気をしてしまったと仮定しよう。

もちろん浮気をしないに越したことはない。

けれど今回に限っては浮気をしてしまったものとする。

多くの場合浮気をしてしまった後にすることは、恋人に正直に伝え謝り、もう二度としないと約束をすることだろう。

これを今できる最大限の誠実さと考える人は多い。

他の選択肢をあげるならば、浮気を伝えずもう二度としないと心に誓う。

伝えたところで傷つけるだけだと考える人もいるだろう。


私の中の優しさ、それは浮気を伝えその人の元から去ることだ。

これを逃げだと言うものは少なからず存在し、ましてや少ない訳でもないだろう。

その意見を否定するつもりはない。

なぜなら心の奥底ではこれを逃げだと自分でも思ってしまう時があるからなのかもしれない。

だが、1度浮気をしたものが愛するもののそばに居る資格を与えられたままでいいとは思えない。

もう二度としないと誓い、傍にずっと居て欲しい。

そう言われるかもしれない。

けれど人は変わらない。

もう少し砕いて言うと、浮気をした本人が例え変わったとしても浮気をされた恋人のその傷が完全に癒えることはなく、浮気した相手を疑う心が無くなることは二度とない。

連絡が返ってこなければ不安になり、会社の飲み会と聞けば苛立ち始める。

いくら謝られようが、誠実な態度を見せようと努力していようが後遺症は残り続ける。

その後遺症は別の人と付き合えば無くなるという訳では無い。

けれど浮気をした相手と付き合っているより幾分マシであることは確かなのだ。

人は加害者と被害者の両方が変わらなければ変わることは無い。

そして両方が変わることはよっぽどと言っていいほど少ない。

有名な芸能人が活動を辞めたところで、そのファンからしてみればその人は一生芸能人なのだ。

芸能人本人が一般人のような生活をしたいと望んでもそれが叶うことはない。

あったとしても当分先だろう。

浮気をしたら、その人の元から去るべきだ

それが浮気をした人にできる最大限の優しさなのだ。

幸せにしてあげたいなんて言う願いは捨て、いつか他の誰かと幸せになってくれればいい。

そう思うことだ。


私の優しさとは、こういうものを言うんだと思う。

この優しさは伝わりづらく、逃げだと捉える人もいる

こうすると良いの模範解答には残念ながらならない。

けれどこの選択を取れる人に優しいと言う言葉を贈りたくなる。

もちろんこれは例え話で例外も複数存在するだろう。

だが、この話を覚えていて欲しい、とそう思う。

優しさには色々な種類があり、その優しさは時に刃物に、時に温もりになるのだと言うことを。

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