最上位カーストグループ三番目に可愛い元気なムードメーカー負けヒロインの失恋話と愚痴を毎日聞いていたら、ぐいぐい距離感バクりぎみに近づきとうとう俺のベッドで寝息を立てる

神達万丞(かんだちばんしょう)

第1話「失恋現場を目撃して以来、元気娘がぐいぐいくる」

十一月十日


 夜のイルミネーションは綺麗だ。クリスマスに向けて点灯すると心が踊る。

 そんな俺こと尼子出雲(あまごいずも)は近くのフラワーパークでボッチを満喫していた。この時期だとまだ人がまばらなので穴場。

 だからライフワークであるネットのアップ用ベストプレイスを求めカメラが光る。

 

「越前うちと付き合ってください!」

「ごめん、付き合っているやつがいるんだ」

「もしかして駿河?」

「ああ。勝手なお願いだけど長門はこのまま友人でいてくれないか?」

「そうなんだ……。うん、わかった。うちの大事な親友なんだからあの子を泣かすなよ」

「わかっている」


 少女は笑顔で別れを告げ、男は走り去っていく。 

 俺はどうやら振られた現場に居合わせたらしい。 

 まあ俺には関係のないことなんだけど居心地悪いな。SNSにイルミネーション煌めく夜景をアップしようと計画していたけど、ここには居づらい。

 休日の部活帰りだしそろそろ退散するか。


「あ、雨だ」


 一応曇り予想だったが傘を持参してきてよかった。郊外の公園だから悪天候になりやすいと踏んだファインプレー。


 俺が帰り支度しようとしているも、振られたショートカットの女子が佇んでいる。雨に濡れながらうつむいて身じろぎする様子はない。男とデートだったのだろうか、だいぶめかし込んでいた。

 

 しかし部外者だからそのままスルーを決め込む。関わらないのが一番。

 うん、俺は何も目撃してなかった。


「君」

「…………」   

「ちょいちょい、そこの君」

「なんでしょうか?」


 入り口に向かい踵を返すと、何故か女の子が関係ない俺に話しかけてくる。

 唯一現場に居合わせたので気まずい。


「ねえねえ今、うちの告白シーン、カメラで写してなかった?」

「イルミネーション撮っただけですが、もし写っていても邪魔なのでそこだけ消しておきますから心配しないでください」

「そうなんだ。ならいいか……じゃなくてサイテーな姿カメラに撮られて気分いいものじゃないよ。大体その振られて弱った美少女を放って家路につくつもり?」

「面識がない人へ話しかけてトラブルに巻き込まれるのは御免被りたいだけですが……」

「その制服、君うちの学校の人でしょう。もう身内じゃん。それなのに酷くない?」

「酷くないですよ。それどころか傷心の乙女をそっとしておくのは紳士的行為だと俺的に判断します。それに僕は貴女を知りませんよ」


 厄介な手合いに絡まれてしまった。ここは逃げの一手なのだが、このままじゃ帰してくれそうもない。

 さてさて、この面倒な女どうしたもんだろう?

 


十一月十四日


 青春で花咲くクラスは賑やか。修学旅行終えたばかりなので何処か連帯感が残っていた。

 うん、今日も平常運転。俺は誰とも関わらない。

 課金ゲームやりながらまったりラノベを読む。

 俺はぼっちをこよなく愛する男。なので学友とかそういう面倒なものはいない。それどころかこのクラスで俺を認識しているやつはほぼいないのだ。

 先生でさえ出席確認で俺だけ抜かす。親からの仕送りに左右される通知書を忘れられた時は焦ったもんだ。


「——あー! こんな所にいた。うちと同じクラスだったんだね」

「………………?」

「存在感がないからあっちこっち探したよ」

「目立たないので」


 ショートカットの明るい女子が俺に話しかけてくる。珍しいこともあるもんだ。

 特筆するならアイドル並に美少女。仄かなコロンの香りが鼻孔をくすぐる。


「ねえ、君なんで逃げたのさ?」

「貴女は?」

「この前フラワーパークにいたでしょ?」

「ああ、振られた腹いせに難癖つけてきた女子」

「うっさい。デリカシーないのかな」

「ないですね。とうに捨てました」

「拾ってこい。それより傘とタオルありがとうね。助かったよ。お礼がいいたかったんだ」

「それは何より、お陰様で俺は風邪を引きました」

「駄目だね。自己管理できない男子はモテないぞ」

「興味ないです」


 言うに事欠いておまえいう? 数日間熱が下がらなくて地獄をみた。

 振られて無残な姿が見るに耐えられなかったとはいえ、他人に傘とタオルを無理矢理渡し走り去ったのは我ながらどうにかしている。


「というか君、同じクラスなのにうちのこと知らないの?」

「それはお互いさまですよ。貴女も俺のこと知らないでしょ?」

「興味ないからね」

「俺も興味ないです。はい、ということでさようなら」

「山内長門(やまのうちながと)。うち名乗ったよ。君の名前教えて」

「いずも」

「聴こえない」

「尼子出雲です」

「わかったあまご」

「君をつけてください山内さん」

「いやでーす」


 うんべーとベロを出す陽キャは嵐の如くカースト最上位仲良しグループに合流。俺の静かな学園生活をかき乱さないでほしいもの。


 山内さんか。学年カースト最上位グループ三番目に可愛い女子だ。学園の情報に疎い俺でも知っている。もちろん人気者、社交的で友達も多い。

 だから俺と話したことも野良猫に声を掛ける程度であろう。もう話すこともあるまい。

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最上位カーストグループ三番目に可愛い元気なムードメーカー負けヒロインの失恋話と愚痴を毎日聞いていたら、ぐいぐい距離感バクりぎみに近づきとうとう俺のベッドで寝息を立てる 神達万丞(かんだちばんしょう) @fortress4

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