世、妖(あやかし)おらず ー忌避目連(きひもくれん)ー
銀満ノ錦平
忌避目連(きひもくれん)
この世界に映されている現実は、我々生物の機能の一部【目】を通して存在している。
しかし、それが本当に現実という世界で私の頭に投映されているのが不思議でならない。
だから私は目という機能部分が不気味で仕方ない。
私自身…いや、全人類が自分自身の身体全てがどういう構造で完成されていて、どんな機能を携わり、どの様な性能で動いているのか…。
しかもそれぞれが同じ景色を見ているとは限らないというのも私としては不気味に思え…特に目の部分がどうしても嫌悪を感じてしまい、人だけではなく他の生物の目でさえ、直視する事が出来なくなっていた…。
身体のどの部位も私としては生命を感じない。
どちらかというと、機械の部品に人の皮を被っているというか…形もよくよく観察すればとても可笑しく、これが私の身体から生えていて、自分の脳内通りに可動させる事がとても不思議でたまらないが、逆に私は手足にそこまで嫌悪感は感じない。
無機物的というか、あくまで動かしているのは脳の部分であって手足自体に意思がある見た目では無いからかもしれない…。
だが目は違う。
唯でさえ顔に付いている目も怖いのに、もし腕とか足に目が付いていれば不気味だしそれが様々な角度でこの世界を見続けるなんて恐怖だし、そもそも何故生物の殆どに目が付いていて機能に差は有れどこの世界を現実として理解させ我々の脳に映像を与えてくるのかがどうしても理解不能で、その不可解な部分を自身が持ち合わせ、理解出来ないままに日常で利用している。
それが私は怖い。
だから、私は周囲の視線を避ける。
人だけではなく、生物の目が怖い。
ギョロギョロと動いて此方を意識していると怖気付いてしまい、つい顔を伏せてしまう。
しかし、顔を伏せても犬や猫に目線を拾われてしまうので空を見てしまう…。
それでも空を見れば、鳥がこちらを警戒する為に睨んでくるので、結局は目を閉じるしかない。
目を瞑るのは、自身の生活に影響が出てしまうのでする事はしないが…そもそも目を閉ざした世界は真っ暗で、それが瞼の裏だというのは理解はしているものの、結局は今映えるこの景色が現実である限りは…私はこの重い瞼を開かざる負えないのだ…。
目を瞑る…怖い…目を開ける…怖い…目を瞑る…怖い…目を開ける…。
怖い…恐ろしい…悍ましい…。
目が…目が私を見てくる。
私も目を見てしまう。
目が…合ってしまう。
昔話で聞いたことがある…『平清盛が庭で無数の髑髏に出会し、その髑髏が巨大な髑髏となってギョロついた目で清盛を睨んだ。しかし怯まず清盛も睨み返すと巨大な髑髏は消え失せた。』…というものだったが、私だったらその場を逃げ出すか気絶してしまうか…。
後確か…目目連という妖怪もいた気がする。
所々に破れた障子の部分が目に変化するという怪異らしいが、あんな目ばかりの妖怪に出くわしたらそれこそ発狂してしまうのは目に見えている…目だけに。
だから…やはり目が一つで有ろうと二つも三つも有ろうと多数有ろうと…臆してしまうのは仕方ない…。
だからなのか…天井のシミも目に見えるし、ドーナツや輪っかの真ん中も洞窟の穴もめに見えてしまう。
だから穴も怖い。
穴から目が現れようものなら、それこそ辺り構わずどんな目も潰しかなねない…と思う。
人が何を感じどういう思考でこの世を成形し、脳に伝達され映像化しているのか…それが分からない限り私はこの目という部位を一生信用しない…だからこそ、私は一番人間の外見の部位で生命を感じる目が大嫌いなのである。
結局は実に下らない…ただ目が怖い人間の戯言である。
世、妖(あやかし)おらず ー忌避目連(きひもくれん)ー 銀満ノ錦平 @ginnmani
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