徒然散歩録

翠鯨

雪の綻び


泥水のコロイドに差し込む光が攪拌され

淡くぼやけた水たまり

雪降りの合間に溶け出した水が

朗らかな太陽の光と空気中で混ざり

いわゆる冬の空気を作り出している


路上に転がる吸い殻の一、二本

私が目にしている風景こそ紛れもない現実

自分が足をつけていることを実感させてくれる

目にする風景がいつも美しくて

たまに生きている状態かどうかを疑ってしまう

けれど野畑に捨てられるゴミや

花壇に埋まる空き缶、ふやけて禿びた吸い殻

それらの誰かの負債が

どうしようもなくここが現実だということを証明してくれるのだ


私もまだ現実に縛りつけられている


いつか本当に世界が美しくなったら

また、死ぬことを考えてやってもいい

それまでは「にんげん」として

この世界に居座ろうと思う

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徒然散歩録 翠鯨 @Naganosic_6e

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