呪いの指輪で恋しちゃった件

青川メノウ

第1話 呪いの指輪で恋しちゃった件

普通にOLをやってても、ひょんなことから、とんだ災難が降りかかることがある。


ネットで購入した指輪が、はめた人の命を一週間で奪うという〈呪いの指輪〉だとわかった時には、すでに指を通した後だった。


「ああっ、抜けない!」


いくら引っ張っても無駄だった。

もしかして、一生このまま?

ってか、その一生が、あと一週間で終わるって!


「そんなの、やだーっ!」


外す方法が全くないわけではなかった。

自分のことを『心から好き』と思ってくれる人にだけ、抜いてもらうことができるとか。


よし。


自慢じゃないけど、社内でわたしに言い寄ってくる男性は多い。

適当にあしらってきたけど、


「ええい、このさい」


手あたりしだいに、声を掛けまくった。


「ねえ、お願い。指輪、抜けないの。引っ張ってもらえない?」


だれも抜くことはできなかった。


やっぱりね。


わたしへの思い、本気じゃないのはわかってたけど……ショック。


しょせん、男なんてそんなものだ。


そうこうしているうちに、あっという間に、残り一日。


もう無理かも……


「うー、抜けろー!」


やけくそで、無理やり引っ張っていると、


「どうしたの?」


と仲良し同僚の玲亜れあが、声を掛けてきた。


「指輪、抜けなくなっちゃって」


「あら、それは大変ね。引っ張ってあげよっか」


「どうせ無理だし、いいよ」


「やってみなきゃわかんないでしょ」


すぽっ


「はい、抜けたよ」


えっ、なんで抜けるの?

んん? って、ことは、つまり……


「へえ、きれいな指輪ね。ちょっとはめていい?」


「あっ、玲亜、だめっ!」


止める間もなかった。


「どう? 似合う?」


「それ〈呪いの指輪〉だよっ!」


「うん、知ってる」


「ならなんで? 抜かないと死んじゃうって」


「じゃ、抜いてよ」


わたしに指を差し出してくる玲亜。


「たぶん、抜けないって」

でも、一応、やってみる。


ぐいいいぃ!


「痛ぁいぃ!!」


「ご、ごめん」


やっぱ、いくら引っ張ってもだめだ。

そりゃ、そうよね。

玲亜に恋してるわけじゃないんだし。


んー、困ったなあ……


「ねぇ、どうするのよ、玲亜」


「死ぬしかないわね」


「そんな、あっさり言わないでよ」


「じゃ、愛して。私を」


「んっと、ごめん⋯⋯玲亜のこと、すごく好きだけど――もちろん、友達としてね。愛するなんて、ムリだって」

「私が死んじゃってもいいの?」

「そんなっ、いいわけないじゃない」

「じゃ、愛しなさい」

玲亜がずいっと迫ってくる。


「ちょっ、待って。友達だよ、玲亜は……」

「だったら、友達キスでいいから、シて」

と静かに目を閉じる玲亜。


ええい、こうなったら、彼女を救うためだ。

『好きよ、玲亜。大好き、アイシテル……』と心から唱えて、


シちゃった⋯⋯


あー、同性の女の子となんて、初めて。

でも、思ったよりもずっと甘くて、胸がドキドキして⋯⋯

ひょっとして、わたし、マジでときめいちゃってる?

まさか、新しい自分を発見とか? ウソでしょ?


そして、指輪はスルリと抜けた。


それからというもの、わたしと玲亜の関係は、ぜんぜん違うものになってしまって、

とうとう同棲まですることに。

ま、こんな展開も、悪くないよね。



※百合小説 〈青い視線の瑠美〉https://kakuyomu.jp/works/822139838125276649

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