カラスのアイス屋さん

月兎耳

イントロダクション

「軽トラってさぁ、良くない?」


 ついさっきまで寝ていた助手席の男が、唐突に言った。

 ハンドルを取る男が答える。


「良くない」


 無愛想な返しを気にした風もなく助手席の男は続けた。


「僕は好きだなぁ。真四角に収まって、小さくて可愛らしいし」

「狭い。次はもっとデカい車にしろ」

「君ダンプのキッチンカー見た事ある?」

「……世界のどこかにはあるだろ」


 白い手がダッシュボードを撫でる。

 そこに並ぶ空調や計器類は、形だけはそれらしいが、よくよく見ると表示もデザインもめちゃくちゃだった。

 2人の前に道は見えない。ヘッドライトを照らしても、前も後ろも何もない暗闇を走っている。

 やがて白々と向こうから夜明けのような光が差してくる。


「ああ、見えた見えた。次はどんな所かなぁ」

「お前、知ってるんじゃないのか」

「知るわけないよ。相手は女の子が良いなぁ。僕女の子が好きなんだよねぇ」


 いつのまにか、タイヤは砂利道を掴んでいた。

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