『身代わりの聖女は、空の果ての寮で朝食を食す』 〜魔力を奪われ続けた私、境界を引く魔法で自分を取り戻す〜

春秋花壇

わたしの輪郭(りんかく)

わたしの輪郭(りんかく)


銀の食器が触れ合う音も 甘い果実の芳醇な香りも すべては わたしの隣を通り過ぎ 妹の頬を 薔薇色に染めてゆく


わたしの皿には 乾いたパンの屑 わたしの首には 黒い呪いの鎖 「お姉様、ありがとう」 その無垢な残酷さに 削り取られていく魔力 わたしは 透明な貯蔵庫だった


けれど たどり着いた空の果て 湯気を立てるスープは 驚くほど熱く 誰にも奪われない「一口」が 氷のような わたしの芯を溶かした


初めて知った 自分の温度 初めて知った 私の名前


だから もう一歩も踏み込ませない ここは私の 誰にも侵されない場所


杖を振るい 光を編んで わたしは世界に 線を引く 「ここから先は わたしのもの」


それは 孤独になるための拒絶ではない わたしが わたしを愛するための 透明な はじまりの境界線


朝陽に透ける 一切れのパン 今日は 自由の味がする


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