不慣れな地下鉄の駅を使おうとすると、出口を間違えて思いがけないところに出てしまうことがある。
都心なんかは出口の数が多すぎるし、大きな駅になれば常に再開発だなんだで経路が変わっているから毎回迷子になりそうになる。
とはいえ道路のこちら側と向こう側を間違えてしまっただけならば、横断歩道や歩道橋を見つけて渡ればいい。
けれど、見つからなかったら?
歩けど歩けど向こう側に渡る手段は見つからず、交通ルールを無視して道路を渡ろうにも車通りが多すぎてほぼ不可能。
この話の主人公が出てしまったのはそんな出口。
読んでいるともはや向こう側に渡ってはいけないような気すらしてくる。向こう側は実は彼岸で、彼がここまで乗ってきた地下鉄は地下鉄ではなかったのかもしれないと不安が掻き立てられる。
果たして彼は向こう側に渡ることはできるのか。
主人公がひたすら向こう側へと渡ることを目指すお話です。