やさしい王都.2

白い異常個体の蒼呀狼は倒したが、まだ残党が残っている。


みんなのサポートに入らないと...




とか思っていたけど、その心配はいらないみたいだ。


クラスのみんなはすでに呀狼を倒し終え、一息ついていた。




「助けに入っていただいて感謝します。あのままだったら怪我を、最悪重症を負っていたでしょう。」




おっと、あちらから話しかけてきた。神山は僕が覚えている唯一の人物といったが、それは当然だ。


なんせ、執拗に僕のことをクラスの輪に入れたがる。




そんなだったから名前を覚えてしまったのだ。


でも、今回はこの世界で一応信頼できる人なのでここは慎重に行かなければ。


最初が大事、最初が大事だからな...がんばれ僕。




「いえいえ、こちらこそ。勇者の方々を手助けできて光栄です。」


「助けてもらったことですし、なにかお礼をさせてください。」




お、これは絶好のチャンス。




「それでしたら、今から言うことを信じてくれますか?」


「良くわかりませんが、わかりました、信じます。」


「僕は、君たちとはぐれたもう一人の転移者“藤村日照”だ。」


にわかには信じられなそうに答える。


「え、きみがか?冗談はよしてください。見た目が全然違いますし、それに...」


「証拠ならあるぞ。えっと、スマホとカバンと、破けてるけど制服もきっちりあるぞ。」


「見せてもらっても構いませんか。」


「はい、存分に見てください。」


神山は幻でも見ているかのような表情だ。


「...たしかに、私達の高校のものですね。どこで拾ったんです?」


「拾ってねーよ。僕の私物。」


「ちょっとみんなと話し合ってきてもいいですか?」




そう言うと、僕が承諾する前にみんなの方に行ってしまった。


ちらほらと驚きの声が聞こえるが、何を言っているかまでは言わなかった。


ていうか、僕の制服は置いてけよ。






——しばらくして、神山が戻ってきた。相談し終わったみたいだ。




「とりあえず、あなたのことを日照として話を進めますが、なぜ私達と同じ場所にいなかったのか。なぜ姿が変わったのか教えてください。」




そう言われたので、僕は転移の際に身体が崩壊したこと、その際リンネと言う神が助けてくれたこと、その結果このような姿になり色々あって現在に至ることを話した。




なのに、神山は眉間にシワを寄せ、珍妙な顔をしている。


そのままクラスのまた話し合いをし、信じてくれはしたがまだ完全ではない。


と言っていた。




やっぱ、ご都合主義みたいには行かないな。


まあ、信じてもらえただけでいいか。一応がつくけど...




その晩は、王宮に泊まることになったが、使用人たちからは怪訝そうな顔をされた。


当然だろう、急に30人以上の洗濯が増えたのに、更に誰か知らない人が追加されたんだ。いい気分ではないだろう。




...流石に使用人の方達が大変そうだから明日にでも手伝いに行こう。


一人暮らしだったから洗濯物、料理もそこそこできるから何かの助けにはなるはず。




それにしても、この世界に来てから退屈することがなくなったな。


前の世界では毎日が同じだった。


朝起きて、着替えて学校に行って...


元の世界には戻りたくないな。




そのまま僕は眠りについた。


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