魔法を覚えたい!

翌朝、僕は森に向かっていた。


引き続き薬草採取にくわえ、スキルや魔法の練習のためだ。


できれば魔法を覚えたい。返り血で服が汚れるからだ。




いやー。あんなにべっちょりついてたから落とすのが大変だった。


そのため魔法を覚える。覚えなくてはならぬ!


しかしどうしたものか...




スキルの使い方はなんとなくわかった。


が、魔法に関しては全くわからん。


前も発光した水を出すだけにとどまっていたし...


とりあえずこれは保留だな。






次に試すのはスキル、主に“創造”を使った実験だ。


なにも実際にある物しか作れないと決まったわけではない。


ましてや異世界。不可能が可能になるのがこの世界だ。


強い期待を載せ、“創造”で強く、固く、尚且つ軽い。




そんな理想の物質を作るイメージ。


右手に魔力が集まり、それが形をなし、巨大な鎌に変化する。




死神が持っていそうな見た目だが、色は白く、内部が青く光、揺らめいている。


刃から発せられる光が一番強く、蒼炎をまとっているかのようだ。


恐怖より神々しさすらが感じられる。




いやー思ったよりも良いものができた。振りやすいように重心や見た目にこだわったかいがあった。




しかし本当にできてしまったよ魔力の物質化。


だが予想以上に魔力の消費が大きいな。




今まで感じたことのなかった何かが抜ける気配があった。


あれがおそらく魔力だろう。




まあ面倒なことは置いといて。早速切れ味の確認だー。


そうだな...とりあえず目の前にあるこの木から。




そう思い、興味と期待を乗せ、放たれる大ぶりの一撃。


それは見据えていた木を一刀両断にするだけに収まらず周囲の地形もろとも吹き飛ばす。




「うそーん」




クレーターの中心ではあまりの威力で固まった少女がいた。


なぜこうなったかはさておき、これなんだろう。




疑問とともに向けた視線の先には、なんとびっくり。かなりの大きさの横穴が続いている。


奥にも大きそうで、壁は見えなかった。




それだけではなく、入口は石を積んだかのように見え、あきらかに人工物だ。


とりあえずこのことを伝えるため、ギルドに戻っておくとするかな。






「えっ!地面に穴を発見したって!ちょっとお待ち下さい。」




エレナさんはそう言い残すと2階へと続く階段に向かっていく。




「はじめまして。このギルドの管理をしている ミルメス だ。よろしく。とりあえずそこのソファーに腰を掛けてくれ。」


「はじめまして。イリム=テルミアです。今回僕が呼ばれたのはどうしてでしょうか?」


「それは、さっき君が下で話していたことについてだ。詳しい外観について話してもらえるかな?」


「わかりました。まず外観は—


     —とのような感じになっています」


「なるほど...エレナ、緊急で冒険者に依頼を出してくれ。イリム君には後ほど情報提供の謝礼金として20金貨を渡すように手配しよう」


「わかりました。」




えっと、確か青銅貨一枚が10円で、その10倍が銅貨、更に10倍が銀貨...そこに聖銀貨、金貨ってかんじになるから。200万円!?




「そんなにもらっていいんですか?」




驚きのあまり身を乗り出し、ソファーから立ってしまった。




「はい。この情報は街の安全を守るために大いに役立つ情報でしたので。もしこれを発見できていなければこの程度じゃ払いきれないほどの被害を被ることになるでしょうから。」


「そうですか...あのー今更なんですけど今回発見した物ってなんですか?」


「あれはダンジョンと呼ばれる物でして、これも魔物同様EからSランクまでがあります。中には魔物が徘徊しており、進化個体も多くいます。基本的には一種類の生物しかいませんが、あまりのも広いと何種類もの魔物がいることもあります。」


「それは大変そうですね。」




まあこんなこと置いといて、この人今なんて言った?


魔物の進化個体がいる、そして僕も竜人族、名前からして多分魔物。


もしかしたら進化できるかも。




そんな期待を胸に少し交渉してみる。




「少し質問があるのですが、よろしいですか?」


「もちろんいいですよ。質問とはなんですか?」


「僕もダンジョンとやらに入らせてもらえませんか?」


「...えっと。イリム君は入団したてでまだEランクなんだよね?」


「はい。そのとおりです」


「残念ながらそのランクでは無理だね。少なくともCランクじゃないとダンジョンには入れな...」


「なら、模擬戦で実力を示せばどうですか?」


「本気か?」


「本気です。」


(彼女の瞳からはたしかに強い意志が感じらる。強者特有のものだ。ならば...)


「わかった許可しよう。ただしこれはダンジョン発生という緊急事態だということを理解しておけよ」


「はい。わかりました」




勝った。計画通り! とは言うもの、ギルマスを相手にしなくてはならない。


どうやって勝とうかな。




そんな事を考えてるうちにギルド裏の訓練場についた。




「これよりイリム様の特別昇給試験を始めます。立会人はこのエレナがさせていただきます。形式は模擬戦。ギルドマスター相手に5時間耐久、もしくは攻撃を入れたら合格となります。戦闘はこの範囲は半径50mの円の中で行っていただき、これより外に出た場合失格となります。また戦闘不能と判断した際も失格とさせていただきます。それでは両者構えて... 試験開始!」




その合図とともに“思考加速”と“創造”を使う。


ミルメスは急接近したこと、巨大な鎌を出現させたことに驚きはしたもののすぐに冷静さを取り戻した用に見える。


だがもう遅い。




僕と相手との距離はわずか3mまでに縮み、僕の間合いに入っている。


勝利を確信し、鎌を振るう。


“魔力操作”で鎌の魔力を操っているので前のような爆発も起こらない。—たぶん...


そう思いながらも鎌との距離は20cmくらいまで縮んでいる。もう避けられない。




そう思うっているとミルメスの周囲の魔力が急に高まり、不敵な笑顔見せている。




やばいっ!




そう思い、一気に距離を取る。その選択は正しかった。


さっき僕が立っているところが爆ぜた。




危機感を覚えるまもなく爆炎の中から火球が飛んでくる。


バックステップで避けることには成功するが見た目とは裏腹、強烈な爆風で数m吹き飛ばされる。




どうやって狙ってんだよ!しかも野球ボール程しかないのにあの威力。着弾地点からは5mは離れてたぞ!




そう思ったのもつかの間、二発目、三発目と次々と攻撃が襲ってくる。


“思考加速”がないものから見たら、さながらマシンガンのように見えるだろう。




そんな飽和攻撃の中、攻撃のすきを見つけられないまま5分が経った。


このまま逃げっぱなしだったら5時間が立つ前に体力がきれる。


だが相手に攻め入る隙がない。どうしたものか...




そう考えている間も火球は絶えず飛んでくる。


「早すぎて見えねえ...」


「ギルマスもそうだけどあの子も大概化け物じみているな...」


うるさい外野!今集中してんだ。その声奪ってやろう.か... あっそうだあれがあった。ナイス外野!




これなら形勢を変えられるかも。けどまだ使ったことがないため予想が外れたらかなりのダメージを負う。


...仕方がない。このままでもいずれこちらが負ける...


そうこう思っていたら足元の段差につまずきバランスを崩してしった。


好機とばかりに今までよりも早い火球が飛んできている。


うまくいけ!そう願い火球に向けて“略奪”を使用する。

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