女神アイノゥの蠱毒 転生成功者集めてシェアハウスさせてみた
駆出伍長
Day 1:選ばれし者たちのレッドカーペット ~第一印象は蜜の味~
1. 黄金の招待状(プロローグ)
それは、異世界世界で成功を収めた6人の元に届いた、一通の『黄金の招待状』から始まった。
『親愛なる成功者へ。
天界にて、貴方のような特別な存在だけを招いた晩餐会を開催します。
そこは、真の王と女王が出会う約束の地。
貴方の輝きを、全世界に見せつけてください』
差出人は、女神アイノゥ。
その甘い言葉(詐欺)に、彼らは疑いもなく飛びついた。
自分こそが、その宴の『主役』であると信じて――。
◇◇◇
2. 煌めきのレッドカーペット(PM 6:00)
天界の最奥、下界とは隔絶された亜空間に浮かぶ『天空のシェアハウス』。
その巨大なエントランスには、どこまでも続く真紅のレッドカーペットが敷かれていた。
『♪ BGM:オシャレな洋楽(テ◯スハウス風) ♪』
「さぁ、主役たちの登場でーす!」
女神アイノゥの脳内ナレーションと共に、純白のリムジンが滑り込む。
ドアが開き、選ばれし6人の『勝ち組転生者』たちが降り立った。
全員が『チートON』状態。
その姿は、発光しているかのように煌びやかで、自信に満ち溢れている。
「フッ……眩しいな。だが、私の輝きには劣る」
『No.1 レオンハルト(中身:田中 勉)』が、黄金の鎧をガチャつかせながら髪をかき上げる。
そのポーズは、計算され尽くした「勇者立ち」だ。
「俺という太陽が、この館を焦がしてしまわないか心配だ。……罪な輝きだよ」
「あら、レオンハルト様。焦げるのは貴方の『肌』だけになさってくださいな」
『No.2 シャルロット(中身:佐藤 陰美)』が、扇子で口元を隠して優雅に微笑む。
その瞳は冷ややかに、しかし蠱惑的に流し目を送る。
「わたくしの美白(ホワイトニング)の前では、太陽すら霞んでしまいますもの。おーっほっほ!」
『バチバチバチ……!!』
出会って数秒で、見えない火花が散る。
『No.3 アルフレッド(中身:伊藤 誠)』は、インテリ眼鏡を中指で押し上げ(ロジカル・クイッ)、建物をねめ回した。
「ふむ……建築様式が古いな。私の領地なら即座にリノベーション対象だ。
『風通し(エア・フロー)』が悪い。これではクリエイティブな思考が阻害される」
「キャッ♡ 段差が怖いぃ〜誰か手ぇ貸してぇ〜?」
『No.4 マリアベル(中身:高橋 佳代)』は、わざとらしくよろめき、上目遣いで周囲の男たちを牽制する。
「マリア、か弱くてぇ……お姫様抱っこじゃなきゃ歩けないかもぉ……チラッ♡」
『No.5 クラフト(中身:鈴木 一郎)』は、「……構造計算に問題はないな」と柱を叩き、
『No.6 セレスティア(中身:渡辺 花子)』は、「星が……貴方たちの凡庸な未来を嘆いているわ」と虚空に話しかけている。
彼らは全員、確信していた。
『(この中で、俺(私)が一番イケてる)』
『(他は全員、俺(私)を引き立てるためのモブキャラだな)』
彼らは優雅に、しかし足を踏みつけ合うようにして、シェアハウスへと入っていった。
◇◇◇
3. 運命の投票タイム(PM 9:00)
シャンデリアの下、最高級のディナーを囲む6人。
しかし、会話は噛み合っていなかった。
「でね、俺が魔王の首を刎ねた時さぁ……」
「わたくしの領地では、薔薇風呂が義務付けられておりまして……」
「もっとマリアを見てぇ? ねぇ聞いてるぅ?」
全員が『自分の話』しかしていない。
カオスな晩餐会の最中、モニターに女神アイノゥが映し出された。
『はーい、みんな仲良くなったところで!
『ファーストインプレッション・ローズ』のお時間でーす!』
画面にバラの花が表示される。
『現時点で『一番いいな♡』と思った異性の名前を、手元のタブレットに入力してね!
結果は……ふふふ。あとで私が『個別に』お部屋まで発表しに行きまーす☆』
全員がニヤリと笑い、自信満々にペンを走らせる。
レオンハルト:(フッ、迷う必要はない。女子全員が俺に入れているはずだ。俺は『ハーレム』を作る義務があるからな)
マリアベル:(あーダル。ま、全員ウチに入れてんでしょ? 金持ってそうなの誰かなー)
彼らは疑いもしなかった。
自分が『選ばれる側』であることを。
◇◇◇
4. 深夜の突撃訪問 ~天国と地獄~(PM 11:00)
消灯後のシェアハウス。
カメラを抱えた女神アイノゥが、忍び足で女子棟の廊下を歩いていた。
🌹 CASE 1:真の1番人気(女子部屋)
コンコン。
「はーい、アイノゥでーす! 入るよ〜」
そこは『No.4 マリアベル(聖女)』の部屋だった。
彼女はシルクのネグリジェ姿で、桃色の髪を優雅に梳かしていた。
「おめでとうマリアベルちゃん!
貴女は男子メンバーからの得票数、ダントツの『No.1』でした〜!」
「まぁ! 本当ですの!?」
マリアベルは花が咲いたように微笑み、胸の前で手を組んだ。
「嬉しいですぅ! 皆様、私の愛を受け取ってくださったのですね……♡」
「うんうん、すごいねー(棒)。
特に『守ってあげたいオーラが凄い(No.5 クラフト)』とか、『彼女こそ僕の女神だ(No.3 アルフレッド)』ってコメントが来てたよ!
……あ、No.1のレオンハルトくんからは『俺の隣に立つ許可をやろう』だって」
「光栄ですわ。……ふふ、チョロい……いえ、素敵な殿方たちですこと♡」
一瞬、『チョロい』というドスの利いた本音が漏れたが、女神はスルーした。
彼女は計算高く、完璧に「1番」を演じきったのだ。
(チッ、あのインテリ眼鏡のアルフレッドからも票入ったのかよ。ああいう理屈っぽいヤツって、知識ひけらかすだけで金払い悪いんだよね。キモ)
◇◇◇
💀 CASE 2:勘違いの1番(男子部屋)
続いて女神は、男子棟の最も豪華な部屋へ向かった。
廊下で一度、吹き出しそうな笑いを堪え、真顔を作ってからノックする。
コンコン。
「ヤッホー! 起きてる〜?
『No.1』の人にインタビューに来たよ〜!」
ガチャリ。
ドアを開けたのは、バスローブ姿で片手にブランデーグラスを持った『No.1 レオンハルト(勇者)』だった。
髪は少し濡れており、バスローブの胸元が無駄にはだけている。
「フッ……待っていたよ、女神」
『無駄に主人公らしいイケボ』が響く。
「来ると思っていたさ。俺が『No.1』であることは、物理法則(ルール)のようなものだからな」
女神アイノゥは、引きつりそうな口元を必死に抑えてカメラを向けた。
「そ、そうだね! 君は圧倒的だったよ!
ぶっちぎりの『No.1(※不人気)』だよ!」
「ハハハ! 当然だ!」
レオンハルトは高笑いし、カメラに向かってバチーンとウインクした。
「見たかい、全国のハニーたち?
この俺、レオンハルトが頂点に立つのは必然なんだ。
他の有象無象(モブ)には悪いが、主役の座は譲れないね」
「うんうん! すごい自信!
ちなみに『どんなところ』が評価されたと思う?」
「決まっているだろう。この溢れ出る『包容力』と『知性』さ。
今日のディナーでも、俺のトークが場を支配(ドミネート)していただろう?」
(※脳内回想:自分の武勇伝を30分語り続け、全員がスマホをいじり出しても気づかなかった地獄の時間)
「なるほど〜! 『支配』ね〜!
いやー、最高のインタビューありがとう!
今日はいい夢見てね、『No.1』さん♡(ププッ)」
「ああ。君もな、子猫ちゃん」
バタン。
ドアが閉まった瞬間、廊下で女神が崩れ落ちて爆笑した。
「ぶっ……くくく! 『子猫ちゃん』だって! 昭和かよ!」
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
女神アイノゥの「ここがダメだよ転生者!」
『♪ BGM:軽快なトークテーマ ♪』
「はい、お疲れちゃ〜ん!!
『ギャハハハハ!!』 無理無理! お腹痛い!!
見た今の!? 見た今の勇者のドヤ顔!?」
画面には、バスローブ姿で「俺が主役」と語るレオンハルトの映像がワイプで流れている。
「あー、一番人気はやっぱり『マリアベルちゃん』よね!
あざとい! でも男はああいうのに弱いのよ! 悔しいけどプロの犯行だわ!
そ・し・て!
一番『不人気(ワースト)』のレオンハルトォォォォ!!」
『ドーン!』(効果音:残念賞)
モニターに『得票数:0票』の文字が表示される。
「『0票』だよ!? 誰からも入ってないの!
なのに『一番人気』だと思い込んで、あの勝利宣言www
『包容力』? ナイナイwww あるのは『自意識』だけwww
もう最高www ピエロすぎて愛おしくなってきたwww」
『♪ チャリン♪(神聖な課金音)』
『♪ チャリン♪ チャリン♪ チャーリン♪』
「うぉぉぉぉ!? 高額GP(ゴッドPay)が止まらない〜!
ちょっと読み上げるね!」
『【🔴 100,000 GP GN:嘲笑の神ロッキー】』
『腹筋崩壊したwww こいつ最高のおもちゃだわwww 明日の「絶望顔」が見たすぎて震える』
『【🔴 50,000 GP GN:美の女神ボウナス】』
『バスローブの着こなしがダサい。減点100万点。でも面白いから投げ銭しとく』
『【🔵 500 GP GN:勇者(本物)】』
『同じ職業として恥ずかしいです』
「あははは! みんな酷い(褒め言葉)!
ありがとう皆、大好き☆
さぁ、今は『天国』にいる彼らですが……
明日はついに『地獄の蓋』が開きます!
次回、『Day 2 本当の私を愛して ~地獄のスイッチON~』!
あの勘違い勇者が、腰痛持ちのおっさんに戻る瞬間……
『絶対に見逃すなよ?』 バイビ〜☆」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます